亀爺(以下亀)
「今年はポケモン映画も見たんじゃな。結構久々の鑑賞だと思ったがの」
ブログ主(以下主)
「そうね。ポケモン映画自体は相当久しぶりだし、劇場に見に行ったのはそれこそ『劇場版 ポケットモンスター 結晶塔の帝王』以来じゃないかな?」
亀「やはりポケモンGO効果もあって行ったのかの?」
主「というよりは、ルドルフとイッパイアッテナが公開されるけれど、その監督である湯山監督の最新作をチェックしておこうとしたら、公開中のポケモンになるというね。でも、すごく面白い発見があったから、それについても書いていこうと思う」
亀「ほお、すごく面白いとハードルを上げていいのかの?」
主「いいよ。ヤフー映画レビューとか、ブログ感想記事も少しだけ見たけれど、誰もこのことには言及していないようだから(検索しても言及している記事が出てこなかった)ハードルをあげちゃった。誰でもわかることだったらごめんね。
そうね……ヒントは、まさかの『あいつ』が登場するぞ」
亀「じゃあ、それも楽しみにしつつ、感想スタートじゃ」
1 ポケモン映画について
亀「主もポケモン世代といえばそうじゃろうが、やはりポケモン映画も好きだった口かの?」
主「ポケモンGO人気でもわかったけれど、多分今の……そうだな発売から20年、当時15歳(中学3年生)までがポケモンをやっていたとしたら、35歳以下はポケモン世代になるのかな? あの当時の社会現象になって、ポケモンフィーバーはすごかったからね。
もちろんポケモン映画も見に行ったけれどさ、『ミュウツーの逆襲』が偉大すぎたね。あれで今後のポケモン映画の方向性が決まった」
亀「思い出補正もあるかもしれんが、あれほどの映画は実写を含めても早々ないの」
主「ミュウツーの逆襲って命の話なんだよね。クローンによって創造された命と、そしてポケモン同士が戦うというある種の『暴力的』な部分に目を向けた大傑作。いろんな要素が複合的に絡み合っていて、大人が見ても……というよりも大人が見るべき一作に仕上がっている」
大人がポケモン映画を見るべきか?
亀「じゃが、ポケモン映画といえばやはり子供向けじゃろ? それを大人が鑑賞したらり、あれこれ言うことはいいのかの?」
主「それもよく言われるけれど、個人的には子供向け映画の方が、大人向け映画よりも作るのが難しいと思っているんだよね。大人はつまらなかったり、ダレ場でも我慢して映画を見るけれど、子供は我慢できない。ある程度楽しみを持たせつつ……つまり、ギャグをやって、バトルも描いて、感動もつけて、テーマをわかりやすくして、さらに時間を90分から100分くらいの間に収める。長いと子供の集中力が持たないから。
これができる大人向け映画が果たしてどれだけあるのか」
亀「ディズニーやピクサーもそうじゃが、子供向け映画としても楽しめるが、大人が見てもそのテーマ性の深さに驚くとよく言うの」
主「アンパンマーチも大人が聞くと泣けるってよく言うでしょ。子供向け映画って教訓を入れたり、ある程度以上の暴力的表現は避けなければいけないなど、様々な縛りがあるからこそ、生まれる工夫に満ちた作品だよね。
日本の作品なら『クレヨンしんちゃん』『ポケモン』『ドラえもん』あたりは子供向けのふりをして、相当凄いことをしているよ。
さすがにアンパンマンは見に行かないけれど、作画面ではトンデモナイことをしているって話題もよくあがるしね」
2 作品感想(ネタバレあり)
声優について
亀「じゃあ、まず声優感想から行くとしようかの。まず、本職達は当然のように全く問題無しじゃからとりあえず置いておくとして、問題は芸能人声優じゃの。まず、中川翔子があそこまで少年声が上手いとは驚いたわい」
主「この声誰だろう? って思いながら聞いていたからな。もう本職の声優であることを疑ってもいなかった。途中で中川翔子っぽい声を探したけれど、全くわからなかったな」
亀「今回の伝説のポケモン、ボルケニオン役の市川染五郎も良かったの。頑固親父みたいな役によく合っていたわ」
主「ところどころ青野武さんのようにも聞こえてなんとなく懐かしい感じがしたな」
亀「さて、では問題の松岡茉優じゃが……」
主「さすがにこのメンバーを相手にすると分が悪い。市川染五郎はもちろん、中川翔子も10年連続で声優を務めるなど、経験豊富な面々だからそりゃ、見劣りはする。年齢を考えたら十分頑張ったと言えるレベルだと思う」
亀「素人の観客に頑張ったと言われるのもどうかと思うが……」
主「普段と違う低い声で、ちゃんと距離感も掴んで演技しているし、元々演技力はあるから初挑戦でこれなら合格点でしょう。いつも言うけれど、相手が抜群にうまい声優ばかりだから浮いているけれど、細田守作品とかなら十分違和感のないレベルだろうな」
亀「主は元々、松岡茉優が好きじゃからな」
脚本について
亀「やはりうまい脚本じゃったの。複合的に色々な要素が詰め込まれておった」
主「まず、安定のバトルとOPでポケモンの世界へと観客を連れていく。ワンピースもそうだったけれど、こういう始まり方はバトル系アニメでは王道だな。そこからギャグを挟みつつ、街に移動してワクワクするカラクリを見せる」
亀「そして分かりやすい敵が登場して、野生のポケモンたちとの交流などのノホホンとした時間を設けて、その間にも人間の身勝手さを説くことを忘れない。そしてヒロイン強奪、バトル、最後の波乱、ラストとしっかりとした物語になっておった。
懸念があるまら、テンポが速かったことかの?」
主「いや、子供向け作品だったらこのテンポがちょうどいいよ。例えば大人鑑賞率が高そうな子供向け映画として『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』を上げるけれど、あれも結構テンポが早いんだよね。でも90分ちょっとの時間に収めること、そして子供の集中力を考えれば、これくらいでいい」
映像について
主「映像が本当によかった。特にCGと手書きの融合が面白かったな。少し前に偶然テレビをつけたらテレビ版のポケモンのEDが流れていたけれど、今はこんなにレベルが高いのかって驚いたけど、映画もすごくよかった」
亀「特によかったシーンはやはり空中戦のグリグリと動くカメラワークかの。最近では『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』もカメラワークとCGでグリグリ動かして迫力を出してきたが、こちらはFFほど早い動きにしないで、しかも明るい場面で子供に配慮した見やすい映像だったことも二重丸じゃな」
主「最近のポケモンはてんで分からなかったけれど、あの砲撃を迎え撃つジガルデの格好良さは凄かったね!! デジモンみたいでさ、ポケモンも破壊光線とかエゲツナイ技が多いけれど、そのシーンの迫力もよかった」
亀「熱い場面あり、感動場面ありで、総合評価でいうと十分満足がいく作品じゃったな」
主「個人的にはワンピースと遜色ないくらい楽しかった。最近、ポケモンをやってない人間でもそうだから、ファンはもっと楽しかったんじゃないかな?」
3 深読みしていくと見えてくる『あいつ』の影
亀「さてさて、ここからはいよいよお楽しみの深読みコーナーじゃが、一体あいつとは誰のことじゃ?」
主「まあまあ、まずは順を追って話していくとしようか」
この作品のテーマとは?
主「じゃあ、亀爺。今回のポケモンのテーマって何?」
亀「うん? ポケモンを大切にする心とか、協調性とか、そういうことか?」
主「違うんだなぁ……まずはさ、今回の舞台を考えてみよう。今回の舞台は『過去の天才科学者』が発展させた、カラクリや科学が発展した街が舞台だったよね?
あの街は『正しい形で科学が発展した街』なんだよ。科学者の良心によってつくられたね。もう勘のいい人はこれだけでわかるかも」
亀「……? 何が言いたいのか全くわからんぞ?」
主「じゃあ、次に今回のキーとなったポケモン、マギアナは人間が作り出した『人造のポケモン』なわけだ。それを生み出したのは『過去の天才科学者』だった」
亀「そうじゃの。そこまではストーリーを追えば誰にでもわかるの」
主「そして、悪い奴がマギアナを盗んで超兵器を動かし、世界を(まずは高原を)滅茶苦茶にしようとしていたわけだ。そのときマギアナは『心をなくしていた』」
亀「……? 何が言いたいんじゃ?」
主「もう殆ど答えを言ってるんだよ!! つまり、マギアナって何の象徴かというと、『核』ないしは『原子力』の象徴なんだよ!
だから正しい使い方をすればみんなに笑顔を運ぶ存在になる。これは原子力発電などの『核の平和的利用』のことを指している。逆に、悪いように使えば世界を滅ぼす超兵器になる。これは原爆だ。だから『動物の象徴』であるポケモンを含めて、根絶やしになりそうになってしまっていた。
だからあの兵器の燃料は『コア』つまり『核を抜き取る』ということ。これは原子力だよね。暴走させるだけなら……例えばマギアナに裏コードを入れると暴走モードになる、とかでもいいじゃない。
じゃあ、それを生み出した子供達の憧れの過去の博士って誰っていうと、あれは『アインシュタイン』なんだよ」
亀「ほう……確かに本家のポケモンも政治的メッセージの都市伝説があるが……いや、まてまて……この公開時期に核となると、まさか!!」
主「そう! この作品は初代ゴジラなんだよ!!」
姿を現した『あいつ』
主「つまり、本作は人間が生み出した超兵器によって、破壊活動を行う初代のゴジラと同じ物語なんだよ。繰り返しになるけれど、まとめると以下のようになる」
マギアナ(人類が生み出したポケモン)→原子力のモチーフ
カラクリ→科学技術
エリファス(過去の天才科学者)→アインシュタイン(核を生み出した科学者のモチーフ)
空中に飛ぶ兵器→核爆弾=それによって生み出された怪獣=ゴジラ
主「以上のようなモチーフになっている。だからあの熱線攻撃っていうのは、ゴジラが口から吐き出す熱線と同じなんだよね。それで街や地球を滅茶苦茶にしてしまう」
亀「……すると、ボルケニオンはボルケーノ、つまり火山の噴火という意味ではないのか?」
主「もちろん、ボルケーノから名前の由来は来ていると思う。だけど、何度も何度も繰り返して描写された、ボルケニオンの原動力はなんだった?」
亀「水……まさか!」
主「そう! ボルケニオンはオキシジェンデストロイヤー、そして芹沢博士のモチーフなんだ!
オキシジェンデストロイヤーは別名『水中酸素破壊剤』つまり、水がないと使えない武器なんだよ!
本来は外から攻撃してもあの要塞は壊れたはず。それはサトシも言及している。じゃあ、なんでボルケニオンはわざわざ戻ったの?
それはゴジラと共に消え去った、芹沢博士のモチーフだからだよ!!」
亀「……ほお、面白いの」
主「この作品ってさ、『シン・ゴジラ』が公開されるこの時期に合わせて、ポケモンという題材で、しかも現代風にアレンジした上での、最初の『ゴジラ』のリメイクだったんだよ!!
どうよ、この考察!! シン・ゴジラに向かって正面切って喧嘩を売ってきたんだよ、このポケモンは!! これがあるからポケモンは馬鹿にできなんだよ!!」
亀「……先ほど久々に見る、と言ってなかったかの?」
テーマを踏まえた上での感想
亀「しかし、それだけのテーマを抱えながら作品として崩壊していないのは素晴らしいの」
主「実際、違和感のあるシーンはいくつかあったよ。それこそ先にあげたボルケニオンが帰ったシーンとかね。だけど、このテーマをあからさまにすることなく、しっかりと組み込んだ上で娯楽としていいものが作れるんだから大したものだよね。
さすがにポケモンは心中とかさせるわけにはいかないから、ボルケニオンは帰ってきたけれどさ」
亀「でも、そう考えるとあのラストも感動的じゃの」
主「そうだね。ボルケニオンを最後に救ったのはマギアナの花であるということを、ゴジラに当てはめて考えれば、芹沢博士を救ったのは原子力の平和利用なんだよね。
心ない使い方で破壊することもあるけれど、心ある使い方をすれば平和利用になって、人や動物(ポケモン)を救うことができる。
科学の怖さと、その恩恵を伝えるいいテーマだったよね」
亀「しかし、本当にこのことに気がついた人は他におらんのかの? 実はTwitterやレビューでこぞって話題になっていたりして。何せ、公開からもう1週間は過ぎているんじゃろ?」
主「子供向け映画ということもあるし、町山智浩とか宇多丸みたいな気がつきそうな評論家や、大人たちが見なそうな映画ということもあって、まだ気づかれてないんじゃないかな? もしかしたら誰かが気がついているかもしれないけれど、自分が調べた限りでは誰もそんなこと言ってないよ。少なくとも、ポケモン、ゴジラで検索したら出てこなかった」
亀「じゃあ、これで納得した人はTwitterでこの記事を拡散したり、ブックマークしてほしいの」
主「実際、うまくできているからね。さあさあ、これで『シン・ゴジラ』に対するハードルがまたひとつ上がったぞ! ふふふ……」
亀「……ブログで感想を書くだけじゃから、気楽でいいものじゃな」
最後に
主「いやー、今回は初めて真っ当な評論になったんじゃない!? これ以上深い今回のポケモン映画の評論って他にないんじゃないの!? 正直、自信作だよ、この記事!!」
亀「……でも、そんな記事でも話題になるとは限らんからの」
主「いやいや、この発見は大きいって! 絶対話題になるって!」
亀「……そう言って埋もれていった記事がどれほどあったものか。しかも、他の人が発見していたり『え? そんなの誰もが気がつくことじゃない?』なんて言われて大炎上して赤っ恥になるところが楽しみじゃの」
主「……いや、そんな怖いこと言わないでよ! PVは欲しいけれど、炎上して欲しくなんだから! この記事、炎上する箇所なんてないでしょ!?」
亀「この形式が寒いとか、ポケモンを見る大人ってどうなの? とか、言われるかもしれんの……」
主「……良い子のみんな、褒めてね!! ほら、言うでしょ
『強いポケモン、弱いポケモン、そんなの人の勝手。本当のポケモントレーナーなら、好きなポケモンで勝てるように頑張るべき』ってさ!」
亀「唐突にポケモンに擦り寄っていくの。さて、わしは友達のゼニガメのところに遊びに行ってくるから、あとは知らんぞ。リザードンが来て大炎上しても助けんからな」
主「あ、ちょっと待って!! せめてみずてっぽうでいいから! ハイドロポンプなんて言わないから! 亀爺、行かないでぇ〜!!」
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