ブログ主(以下主)
「まさかこち亀の最終巻の感想記事を書くことになるとはなぁ……このブログを始めた時は、全く思いもしなかったよ」
亀爺(以下亀)
「こち亀が終わるということは、間違いなく漫画界における一大ニュースじゃからな。この作品は間違いなく漫画界のレジェンドであり、国民作家ならぬ『国民漫画』じゃな」
主「こち亀を読んだことがないという人は……まあ女性を中心にそこそこいるかもしれないけれど、こち亀を知らないって人はいないんじゃないの?」
亀「それこそテレビなどで一生懸命探しに行き、ど田舎のお爺ちゃんとかでようやく発見するレベルかもしれんの。
して、主はこち亀を何巻まで読んだんじゃ?」
主「結果的には全巻読んだよ。
生まれた時から連載されていたけれどさ、家に1巻から当時の最新刊まで揃っていたんだよね。だから何回も繰り返して読んだし、最近はコミックスを買ってはいなかったけれど、ジャンプでなんだかんだ言いながら読んでいたからさ、結果的には全巻読んだね」
亀「200巻もあれば読むだけでも、それこそ1カ月という単位の時間がかかるじゃろうが、そんなファンはたくさんおるんじゃろうな」
主「今回のことがあったから、全巻揃えたくなったしね。本棚が一杯だから難しいけれど、どこから読んでもいいし、暇なときに適当に手にとってぼーっと読むだけでいいから、子供時代には重宝したなぁ」
亀「それではこち亀の思い出について、語っていこうかの」
何巻までが好き、という異常性
亀「これはよくある話じゃな。こち亀では100巻までが好きとか、150巻以降がなんだとか……」
主「これって冷静に考えればすごいことなんだよな。だってさ、『100巻までが好き』とかいうけれど、9割9分の漫画はその10分の1も連載しないわけじゃん? 10巻まで連載するってことは、その雑誌の中でも顔のような扱いを受けているということだと思うけれどさ、その10倍だよ?」
亀「ワンピースでも100巻といっとらんからの。100巻超えの漫画というと『ゴルゴ13』『美味しんぼ』『クッキングパパ』『あさりちゃん』『あぶさん』『はじめの一歩』などもあるがの、100巻までが好きと言われる漫画なんてこの先ないじゃろうな」
主「あとは読者の年齢にもよるな。自分の場合は子供の頃読んだ1巻から……そうだな30巻くらいまでかな? その辺りで描かれた時代……大体1970年代かな、自分は生まれてもいないから、子供の頃はわからないんだよね。
だけど、今なら1970年代がどういう時代だったのか何となくわかるし、それこそ映画とかでそのノリもわかるからさ、多分ゲラゲラ笑えると思う」
亀「今回のジャンプに1巻が掲載されておるが、1巻のノリはわしなどは『仁義なき戦い』を思い浮かべるかの」
主「そういったヤクザもののノリを、警察官がするということ、それだけでもうギャグとして成立しているからね。
最終話の人気投票の5位があのキャラだったのも、秋本治はこのノリが大好きなんだろうね」
時代を切りとる鏡
亀「今回絵巻が奉納されたこともあって証明されたが、この200巻というのは昭和から平成の日本の日常というものを知る上では、非常に重要なものになるじゃろうな」
主「これから先……100年どころか、1000年後になっても生きてくる漫画だよね。その時代の考え方や文化、技術がしっかりと描かれていて、しかもかなり詳しく解説されている。しかもこれだけ大量に発行されていて、人気もあったという証明にもなる。
『徒然草』などが当時の思想や宗教観を見事に映し出す鏡として生きているのと同じように、こち亀も後世では教養として読まれるかもね」
亀「あとはあれじゃの。いしかわじゅんが語っておったことじゃが、ジャンプのパロメーターじゃったな」
主「読者もジャンプで次に何が打ち切りになるかとか、色々と考える時にこち亀というのは一つのラインだったからね。絶対に一番後ろにあるギャグ漫画は別としてさ、今回はこち亀の後ろにいった、こっちは前々回はこち亀の前だから大丈夫だとかさ、その危ない作品のラインを図る上でも大事だったね」
亀「さらにこち亀の掲載順によって、ジャンプ自体の隆盛がわかるというのも面白かったの」
主「こち亀って安定した作品だったから、前の方に掲載されていたら他の作品が不調、後ろだったら好調ってやつね。
ジャンプはやっぱり少年誌のトップを走り続けていたけれど、それもこち亀という大黒柱がドン、と構えていたことも大きかったのかもね」
100巻以降は……というけれど
亀「これもよく聞く意見じゃの。100巻以降の、特に女性キャラが増えてからのこち亀は……という話もあるの」
主「自分も当時はそう思っていたけれど、でも今になって思えば、あれはあれで面白かったと思うよ。確かに麗子とマリアとリカだけでいいという話もわかるけれどさ、早矢とか、右京とか纏とかってやっぱり後半のこち亀には欠かせない重要人物だしね。
あとは、個人的に左京が好きだったからさ、また早矢と左京の対決が見たかったかなぁって思いはあるかな」
亀「最近のキャラクターは賛否もあるが、それだけ長く続いたという証明でもあるからの」
主「読者一人一人にそれぞれのこち亀像があるからね。その中で変化していきながら、守るものは守っていった結果が200巻という数字なんだろうね」
個人的に好きな話
亀「では、個人的に好きな話を振り返るとするかの」
主「覚えていない話もあるけれど、さっきもあれだけ100巻以降もまあ好きだったと言ったばかりでなんだけど、個人的には……やっぱり子供の頃に読んだ50巻から100巻くらいが好きかなぁ。もしかしたら今読み返したら変わるかもしれないけれど」
亀「丸出ダメ太郎じゃったり、神様、閻魔大王などの様々な特徴的なキャラクターが出てきたの」
主「そうそう。人情話もホロリと利かせてたね。お化け煙突とか、勝鬨橋開けとかは今でもたまに思い出すよ」
亀「わしは人情話だと、ヤクザと両津の同級生同士の話が好きじゃったな」
主「両さんがブチ切れた『こういう時だけ好きでしたっていうファン』なのかもしれないけれどさ、それだけ日常にあった漫画なんだよね。だってさ、こち亀が終わるってことを想像すらしていなかったし」
亀「こち亀があるジャンプが当たり前じゃったからな」
200巻とジャンプ本誌
亀「今回の同時掲載は困ったの。これではジャンプ本誌を捨てるに捨てられんわい」
主「まず先に本誌を読んで『ああ、いいラストだなぁ』って思ったところに、コミックスはあれだったじゃない? これがこち亀の終わらせ方かと、やはり感心したね」
亀「じゃがの……本誌を読んでからのコミックスじゃと、あの改変部分からの流れが中々涙腺を刺激するものがあるの。
あと、最終話の『それはキャラの成長よ』と語っておる麗子の描き方が中々色気があって、次の新連載に向けての新たな挑戦をしているように感じたの。ワンピースもこの流れで読むと、中々涙腺にくるものがあるの」
主「やっぱりねぇ……正直言うと、こち亀が終わってこんなに寂しいって思うとは予想外だった。それだけ自分の人生に当たり前にある漫画だったんだなぁって、改めて偉大性を思い知ったよ。
特に最終話のぶっちゃけ話とか、結構ゲラゲラと笑ったから余計だよね」
亀「来週からのこち亀のないジャンプというのを読んだことがある人など、そこまで多くもないじゃろうしの……」
主「でも、ドラえもんとかクレヨンしんちゃんとか、完結しないで作者が亡くなってしまう漫画もある中でさ、これだけの長期連載で、しかも不慮の事態でなく、きちんと完結させたということに大きな意義があるよ」
最後に
亀「今回は主はコミックスは特装版を購入したが、その特典とかはどうじゃ?」
主「結構いいよ。長年のファンには嬉しい登場人物紹介もあるし、好きだけど全巻は家にないって人もそれなりにいると思うんだよね。
そういう人にもオススメできる、いい特典だと思う」
亀「展覧会も行きたいが、この流れじゃと人がすごいんじゃろうな」
主「でも、今行かないとね。こち亀という偉大な漫画の終焉と、それに立ち会える機会なんてそうはないんだからさ。
祭り好きな両さんに習うなら『踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損損』ってことでさ。だからこうして、微力ながらも記事も書いて、最終回の祭りに自分も乗って踊ったわけで。
こち亀が好きな人だったら、みんな踊った方が絶対得だって。にわかとかさ、全巻読んでませんとか、そういうの関係ないよ、なにせ国民漫画だから」
亀「そうじゃの……わしも1話から読んでおるが、どれ、最後に踊るとするかの……」
主「……え? 亀爺って1話から読んでいるの?」
亀「そうじゃよ? ほれ、この作品が『亀有』なのも、わしが秋本治と友人じゃから『じゃあ亀有で』ってなったわけでの……」
主「わかりやすい嘘と、わかりにくい嘘を混ぜるな!!」
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