カエルくん(以下カエル)
「ルパン三世シリーズの新作が公開されたね!」
ブログ主(以下主)
「ルパンシリーズも息が長いよなぁ」
カエル「結構珍しいシリーズだよねぇ。
ドラえもんなどの長期間テレビ放映されているシリーズものは別として、ルパンはそうじゃないもんね。
別にテレビシリーズが人気があってずっと放送してるわけじゃないけれど、テレビスペシャルとか映画とかがコンスタントに作られる作品って他にあるかな?」
主「国民的人気キャラクターであることは間違いないだろうな。つい最近も『LUPIN the Third -峰不二子という女-』や新作の『ルパン三世 PART IV』もテレビでやっていたし」
カエル「不思議な作品だよね、作風からすると子供向けってわけでもない人気シリーズって他にないかも。
今回はその新作映画……といっていいのかは微妙だけど『次元大介の墓標』に続く第2弾作品の感想を書いていくよ!」
1 ルパンシリーズとは?
カエル「……え? 今更必要不要じゃない?」
主「いや、でもみんなが漠然と抱えている『ルパンらしさ』って一体なんなんだ? ということは言及しておいたほうがいいと思うんだよね」
カエル「どういうこと?」
主「ルパンってさ、結構世代とか見てきたシリーズによって印象が変わる作品なんだよね。
例えば、一番有名な作品は『ルパン三世 - カリオストロの城』であることは間違いないけれど、あれがルパンのスタンダードなのか? って言われると、それは絶対違うわけだ。
もちろん、あの作品が名作なのは認めるよ。だけど、あれがルパンか? て言われると、自分は否定する」
カエル「時々そういう意見ってあるよね」
主「すごく面倒くさい話になるけれど、ルパン三世ってモンキーパンチの原作が元々あるわけじゃない? 原作のルパンは簡単に人を撃つし、銭形は汚い真似をするし、不二子などをすぐ抱くというさ、悪党の美を描いたのがルパン三世というシリーズでしょう。
だけど、それを踏襲した1stシリーズがあまり売れなくて、コミカルな要素を追加した2ndシリーズが大ヒット、さらに宮崎駿の影響もあってルパンは3枚目なハードボイルド作品であるというのが、いつの間にか定着してしまった」
カエル「これも不思議な話といえば不思議だよねぇ。普通は原作とイメージが違うとみんな怒るけれど、ルパンは原作の面影が全くないけれど、それが当たり前になっているし。ゴルゴ13がコメディになったみたいなものだしねぇ」
いつもと服装も斬鉄剣の装飾も違う……
原作:モンキー・パンチ ©TMS
変化するルパン
主「まあ、もうルパン三世が誕生して何十年も過ぎるし、その中でのリテイクを重ねた結果ということができるのかもしれないけれど……
ルパンという作品は変化するものなんだよ。そしてその中身が変わったとしても、楽しめる幅広さを持っている。原作のようにハードボイルドなルパンも面白いし、おなじみのファミリー層むけの3枚目ルパンでも面白い。
その時代時代によって最適な形に変化するコンテンツなんだろうな」
カエル「長寿シリーズとしては珍しく……と言ってもいいのか難しいけれど、声優交代もうまくいったしね」
主「結構固定されたイメージがあるから、声優交代って難しいものだけどね。もちろん引き継いだ声優が力があるというのもあるけれど、もう違和感があまりない。
ルパン役の栗田貫一も色々言われるけれど、もはや山田康雄ルパンに思い入れがある人って結構少なくなってきているわけだ。亡くなったのが95年だから、今の……そうだなぁ、アラサーくらいまではむしろクリカンルパンに慣れ親しんでいるわけだし」
カエル「今回は結構ハードボイルドな作品になったのは、やっぱり原点回帰ということもあるけれど声優交代したのもあるのかな?」
主「それもあると思う。ちょうど声優陣も交代したし、ここから新しいルパン像を見つけて行こう、という動きは最近特に感じられるね。あとは……夕方とかゴールデンタイムに放送されるならファミリー層向けの赤ジャケットルパン(2ndシリーズのような3枚目のルパン)でもいいかもしれないけれど、深夜の大人向けにするならやっぱりハードボイルドな方が受けやすい、とかもあるんだろうな」
2 作品感想
カエル「では、いよいよ本題の作品感想だけど……」
主「良かったよ!
元々個人的に1番好きなルパンは1stシリーズとか、テレビスペシャルだと『ワルサーP38』なんだけど、ここ最近のルパンはそっちの路線だから、趣味に合っているのもある。
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だから、カリオストロみたいな3枚目のルパンを想像していくと面喰らうかもしれない。
ここ最近のテレビで放映されていたルパンシリーズが好きっていう人なら、見に行くべきだと思うよ」
カエル「結構グロテスクな描写も多かったね。今週でいうとR15作品の『虐殺器官』も結構そういう描写も多かったけれど、今作も負けず劣らずってところじゃないかな?」
主「虐殺の場合は若干だけどエロもあったし、子供と戦闘するシーンがあるからってこともあるだろうけれど……単純なグロテスクさで言ったら、実はいい勝負なんじゃない?」
カエル「今回の主人公は石川五ェ門だから、戦闘描写も多いしね」
主「今作はまだ出会って間もない時期を描いた作品であって、1stシリーズで敵として登場した五ェ門の名残を残している。こんにゃくが切れないとか、女に弱いとか、そういう描写もない、単純に剣技に優れた侍、という作品だから、当然戦闘描写は多くなる。
ルパンって結構何でもありができる作品ではあるけれど、戦闘要員として次元と五ェ門が便利すぎるという難点を抱えている。だからこの2人は何らかの欠点があったわけだ。
五ェ門の場合は女好きとこんにゃくが切れないというものだったけれど……それがコメディになりすぎた。
だけど、本作はそういった要素を除いた作品だから、カッコイイ男として楽しめる」
今回はコミカル要素一切なし! ハードボイルドな銭形
原作:モンキー・パンチ ©TMS
ハードな世界観
カエル「また今作はヤクザものでもあるじゃない? 舞台は当然のように日本で、少しチャイニーズマフィアのようでもあるというね」
主「ここもいいよ! 賭場の雰囲気もいいし、五ェ門が生きてきた世界がどのような世界なのかよくわかる。
またこれが世界観にマッチしているし、演出や作画の印象とも調和していて、アクションシーンとかもカッコよかったし」
カエル「今作ではルパンと次元はあまりいいところがなかったけれど、銭形もしっかりと公安所属の正義感の強い有能な刑事になっていたし、不二子がセクシーだったし!」
主「沢城みゆきの演技力の高さもあるけれど、今回の不二子のキャラクターデザインはすごく好きだわ。動きの所々にセクシーさを感じさせる一方で、不二子の持つ……言葉が難しいけれど、まあ、安っぽいというのかな? そんな魅力も十分にあったし。
あと、コバキヨさん、声が若返ってない?
少し前は辛そうだなぁって思ったけれど、これならあと10年はいけると思う!」
カエル「全体的には満足いく作品だったよね」
主「1時間のテレビシリーズの延長線上、OVA作品としては、という注釈付きになるけれどね」
今作の不二子はとってもセクシー! 沢城みゆきも素晴らしい!
原作:モンキー・パンチ ©TMS
難点
カエル「……まあ、どうしてもねぇ。この先も続くシリーズにしたいというのもあるだろうけれど」
主「今作は尺の都合もあっただろうけれど本当にもったいないと思ったよ。
まずヤクザの世界観がマッチしていていいんだけど……ここがドラマとして弱い印象がある。今作の敵キャラであるホークもすごくいいキャラで、スタートの少女と戯れる姿なんていろいろなドラマを連想させてくれたけれど、それがあまり活かされなかった印象だな」
カエル「主役は石川五ェ門だから当然といえばそうだけど、ここに焦点を当てすぎちゃった印象かな?」
主「というか、2つのドラマを並行させてしまったのが失敗だったと思う。ヤクザの世界と今作の敵であるホークを出したい、という意図はよくわかるけれど、その2つの世界観があまり一致していない上に別々の物語になってしまった。
これで100分近い尺があればなんとか絡めることもできたんだろうけれど……」
カエル「あとはこの先の伏線かもしれないけれど、ホークの謎に関してはほとんど明らかにされなかったしねぇ」
主「悪い作品ではないけれどねぇ。
単体の作品としたら、ちょっとケチはつく
魅力的な敵キャラは主人公サイドも魅力的にするからさ、もっと深く掘り下げることができれば面白かったと思う。これだったらホークじゃなくて、ヤクザ側で力自慢の大男の用心棒が相手でもよかったんじゃないか? という印象かな。
あとは……まあ、これは仕方ないけれど、次元があまりにも噛ませすぎて笑っちゃったね。元々技術で戦うタイプだから相性が悪いのもあるけれど」
カエル「少し脚本が雑だったかな?」
最後に
主「だけど、その分『魅せたい絵』がしっかりとしていて、面白かったよ。見る価値はあると思うし、ルパンシリーズが好きなファンなら必見の1作。
この作品だけで完結しているから特に予習も必要ないし、この出来なら続編も作って欲しいね」
カエル「テレビシリーズでルパン、不二子はやっているから、次にやるとしたら銭形かな……ここは人情話になりそうだね」
主「銭形も作品によって扱いがガラリと変わるキャラクターだし、作りがいがある作品になると思う。
これだけ魅力的なキャラクターがたくさん出てきて、1人1人にピックアップしていく……この手法って考えてみたらアベンジャーズなどのヒーロー映画と一緒だなぁ」
カエル「……キャラクター1人ずつにピックアップした映画を作っているという意味ではそうなのかな?」
主「自分にとってはこれがアベンジャーズだよ! 昔ながらの人気キャラクターを深堀して、物語を作るっていうさ!
できればこの世界観で5人揃った100分ほどの映画を作って欲しいなぁ……でもできるの、何年後になるんだろう?」
カエル「相当後になりそうだね……」
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