夏休みシーズン突入です!
一ヶ月以上も休みがあることを当たり前だと思っていた時代が自分にもあったんだよなぁ
カエルくん(以下カエル)
「主は学校の宿題を早く終わらせた人? それともギリギリまでやらない人?」
主
「提出しない人」
カエル「……それってどうなの?」
主「どうなのと言われる何ともいえないけどさ、子どもの頃なんてそんなもんじゃん。人生で学校の宿題を提出したのは小三までかな」
カエル「……そのとき何があったかは聞かないでおくよ。それでさ、今回は一応物語の感想をあげていくブログだからさ、子ども達のためにおススメの読書感想文を書く題材の本を紹介してあげようよ!」
主「まあ、子どもたちがこの記事をどれだけ読むかは疑問だけどな」
カエル「まあまあ……
ちなみに大人にもオススメの本を多く紹介するので、ぜひ手に取ってみてください!」
小説
未来予報
乙一
作品紹介
「お前ら、いつか結婚するぜ」
小学生の時、彼女との未来を予言されたものの、それ以降目を合わすこともできなくなってしまった僕。成長をしてもブラブラとやりたいことも見つからない日々。そんな中、僕は彼女に対する思いを強くしていく……
人気作家、乙一の短編作品です!
とても短くて読書に慣れていなくても読みやすい作品です
カエル「ダークな話も多い乙一だけど、今作は白乙一と呼ばれるように感動するようなお話もあって、読みやすい話だね」
主「乙一は子供が読むには短いし、ちょうどいいと思うんだよな。
本作以外にもこの本に収録されている中だと『手を握る泥棒の話』や、別の本だけど『しあわせは子猫のかたち』や『CALLING YOU』あたりもオススメです」
カエル「当時はライトノベルとして出版されているけれど、今とは結構毛色が違うしね。挿絵もある一般小説って感じがするかなぁ」
主「読書感想文のポイントとしては、主人公の気持ちと相手の気持ちに注意して書くこと、ってところかな」
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
桜庭一樹
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/02/25
- メディア: 文庫
- 購入: 31人 クリック: 158回
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作品紹介
あたし=山田なぎさの住む田舎町に、都会から芸能人の娘である海野藻屑が転校してきた。彼女は自分のことを「人魚だ」と言ってはばからない。
嘘つきで残酷だけど、どこか放っておけない藻屑と、徐々に仲良くなっていくのだが……
直木賞作家、桜庭一樹のジュブナイル小説です
特に学生時代に読んでほしい作品かな
カエル「こちらも元々はライトノベルとして出版された作品だね」
主「本作は直木賞作家桜庭一樹が文学界の注目を集めるきっかけになった作品だし、キーポイントとなる作品です。
桜庭一樹が誰かに頼まれたわけでもなく、書いたから出版社に渡したら発売が決定し、発売。ライトノベルレーベルでは珍しく、じわりじわりと売れていき、今でも愛さられる作品となっています」
カエル「ちょっと重いお話だけれど、でも読み終えた後に色々考えることや語りたいことも多くて、読書感想文にもってこいの作品だよね」
主「実際学生が読むにはすごくいい小説だと思うし、是非是非読んでもらいたい作品です」
ハーモニー
伊藤計劃
作品紹介
若くして亡くなった作家、伊藤計劃の代表作であり、アニメ映画化も果たした作品。
すべての人間の健康状態がデジタルによって管理された社会に対して、違和感を抱きつつも生きる女性、トァンとかつての親友だったミァハの交流と葛藤を描いたディズトピア小説
こちらはちょっとだけハードな物語ですが、読み応え抜群!
人間ってなんだろう? ということを考えさせられる作品だな
カエル「伊藤計劃は2009年に30代半ばという若さで亡くなっている作家で、その死は日本SF界に大きな穴が生まれてしまった、と言われるほどの才能でした。
そんな作者がオリジナル長編2作目に書き上げたのが、この作品です」
主「基本的にはライトノベルの延長線上でも読める軽めの作品を挙げているけれど、本作もアニメ化ということで、結構若い人に手を取ってもらいやすい作品だと思う。
だけれど、その内容はとてもハード。
そして登場人物たちの掛け合いがとても面白くて、いろいろと考えさせられます」
カエル「結構中二病のような部分も多くあって、共感する部分も多いんじゃないかな?」
主「また、ちょっと穿った見方をすると、自分が死に向かう中で物語を残したい、トイう作者の気持ちにもあふれている作品で……本当に切り取り方が多様なので、ぜひ読んでほしい作品だね」
エッセイ・ルポ作品
もの食う人々 辺見庸
作品紹介
世界の食とはどうなっているのだろうか?
世界中を回り続けた著者が、貧困地域やチェリノブイリ汚染地帯、紛争地域を回り、その『食』について掘り下げるルポタージュ。
少し古い本ですが、間違いなく名著です
学校の先生も評価しやすくて、良い評価を狙うならばオススメ
主「これは実際に学生の時に読んでいたら、教師に絶賛されたから間違いよ。
ただ食文化に興味があっただけなんだけどね」
カエル「世界中の食の風景を探るっていうのはすごくわかりやすいよね。
そこに暮らす人の苦悩だったり、当時の世界情勢なんかも見えてくるし」
主「もう20年前の作品だけど、今読んでも感じるものは大きいと思う。
思想的に左寄りなのは認めるけれど、その思想云々よりも前に、世界ではどんな『食』が行われているのか、よく分かるね。
日本は飽食の時代と言われているけれど、世界は必ずしもそうじゃない。まだまだ色に飢えている国もたくさんあって、その現実を文章にすると、先生も高い評価を下すんじゃないかな?」
世界を変えた6つの飲み物
トム・スタンデージ
作品紹介
普段飲み慣れている飲み物、それが世界史の視点からみるとどのような影響を及ぼしたのか?
世界を変えた6つの飲み物、ビールやワイン、コーヒーにお茶……それらに含まれているある共通する効果とは?
世界の見方が変わる1冊です!
普段の自分たちの生活と、世界史が大きく関与しているということがよく分かるよ
カエル「じゃあ、誰もが気になる6つの飲み物って何? という話だけれど、その6個はとりあえず本を読んでもらうとして、表紙にも描かれているビールや紅茶なども入ってきます」
主「例えば、お茶なんて『ボストン茶会事件』は世界史で習うと思うけれど、アメリカ独立の象徴できな出来事である。その中でもお茶は重要な役割を果たしている。
また、これは負の遺産でもあるけれど、コーヒー豆の貿易では黒人奴隷の売買も関与しているし、自分たちの暮らす文化と、世界の歴史はとても密接な関係があるんだ」
カエル「世界史とか聞くと、ちょっと引いてしまう子もいるかもしれないけれど、このような視点からみるととてもわかりやすくて、勉強になると思います」
主「あとは話のタネとしても最適。とても面白い本です」
アメリカ映画とキリスト教 120年の歴史
木谷佳楠
作品紹介
誰もが愛するアメリカ、ハリウッドの映画文化。
でもそこで表現された物語には、キリスト教、特にプロテスタントの思惑や社会事情が色濃く反映されている。
映画を通してアメリカ社会と歴史を紐解く1冊。
映画は社会を映す鏡である、というのがよく分かる1冊です!
この本を読むと映画の見方が変わるよ
カエル「主に映画などの感想をあげているブログだけれど、その中でも特にお勧めしたい本がこちらになります。
もともとうちはその映画がアメリカやその国のどのような思想を反映しているのか? ということを重視しているけれど、本作ほどそれが分かる作品は珍しいよね」
主「この本が優れているのは、圧倒的に読みやすいこと。
この手の本って小さい字で、しかも難しい言葉で専門的に描かれていることも多いけれど、本作は比較的ページ数は薄めだけれど、内容はとても濃い。
まさに理想の学術書と言えるかもね」
古典・名作作品
徒然草
吉田兼好
作品紹介
『つれづれなるままに……』の書き出しから始まる吉田兼好の随筆。もちろん日本人ならば誰でも知る作品であり、みんなが学校で習うけれど、実際に読んだことがある人は少ないのでは?
現代にも通じる、人生訓が詰まった作品
え! いきなり現代人じゃ難しい古典じゃない?
そう思う人も多いかもしれないけれど、現代でも通用する一流の自己啓発本です!
カエル「でも、古文って読みづらいし……」
主「それは分かるけれど、視点を変えてみるべきなんだよ。
徒然草ってどんな話かというと、当時の大人気作家吉田兼好が考える、大人のマナーであったり、生きる上での考え方の本なんだ。
つまり、現代で言えば自己啓発書と一緒!!」
カエル「……そんな認識でいいの?」
主「いいよ。
どこの誰ともわからない下らない自己啓発書を読むんだったら、徒然草を読んだ方が100倍マシだ!!
例えば、男の生き様と色恋を学びたかった第三段を読みなさい。
何かやりたいことがある人は五十九段を読みなさい。そこに答えが書かれている!!
個人的に好きなのは三十五段で『字が下手でも代筆されるのはカッコ悪いよね』とか、近いところだと三十八段で『財産や名誉なんて求めたら、人生滅茶苦茶になるよ』とかが好きだな。
あとは、実際十段くらい抜き取ってそれについて感想書けば終わるんだから、楽なもんだよ。全部読む必要なんてないんだから」
カエル「……どうなんだ? その発想は……」
枕草子
清少納言
作品紹介
『春はあけぼの……』で始まる、こちらも日本人ならば誰もが知る歴史的な随筆。
……説明不要か。
え〜!! また古典なのぉ〜!?
枕草子ってのは、むしろ現代女性に読んでもらいたい一作なんだ
主「これは現代風に言えば、仕事バリバリOLの愚痴日記であり、ブログの精神と同じなんだ。
結婚はしているから恋愛の悩みはそこまで多くもないけれど、旦那の愚痴ばかりだし、職場の愚痴だったり、尊敬する上司の話だったりと日々の生活を面白おかしく書いているんだよ!」
カエル「ブログと同じ感覚で読んでいいの?」
主「むしろそれが正解じゃない? 『春はあけぼの』なんてのは春は朝が一番好きっていうだけの話だし、約300記事書こうとしている感性鋭い雑記ブロガーの奮闘記として読めば中々面白いよ。
例えば第二十三段には『地方から手紙よこすなら、プレゼントくらいつけなさいよ』とか書いているし、第百八十八段には『日本語が乱れてるわ!』なんて書いてある。
こちらも現代と感覚が似ている作品だね」
堕落論
坂口安吾
作品紹介
戦後直後に大流行した無頼派の一人、坂口安吾の代表作。
戦前の規範に満ちた価値観を捨て『生きよ堕ちよ』と堕落した生活を送ることを働きかけて、若者を中心にブームとなった作品
これは完全に趣味が出たね
安吾は中二病の頃に読むと、本当に効くよ!
カエル「でもさ、なんで堕落論なの?」
主「まず、安吾の面白いところは厨二病をこじらせすぎて、言ってることは滅茶苦茶だってところなんだよね。
堕落論の場合は『もう落ちるところまで落ちてさ、人間らしい生活を送ろうぜ!!』って言ってるんだけど、これを現代社会で言ったら大ブーイングの大炎上だよ。マナーなんて無視していい、不倫もやりまくろうぜって話だから。
でもその力強さが面白い」
カエル「……それだけメチャクチャな事を言っているのに、安吾だったら先生の受けがいいだろうけれど」
主「やっぱり『風と光と二十の私と』なんかは安吾の教師時代を描いていて面白いよね。あとは安吾お得意のヤンデレ小説『夜長姫と耳男』なんかは滅茶苦茶だとは思うけれど、最後はヤンデレ万歳!! ってなるから面白いよ」
カエル「……あんたは本当に安吾ファンなのか?」
最後に
というわけで本を紹介してきました
読書感想文があっていいなぁ
主「こういう物語の感想ブログを書いていると余計思う。だって宿題でもないのに毎日のように物語の感想を書いてさ、それで誰が評価してんのか、面白いのか面白くないのかわからないような記事をあげている人間からすればさ、炎上する心配もなく評価してもらえる読書感想文なんて羨ましいよ」
カエル「じゃあ文章代行サービスでもやったら?」
主「多分、歳とか関係なく書いちゃうけどね。
でもさ、実際読書って楽しいんだよ。
興味がある分野について学べるしね。学校の勉強で本を読むのが嫌になるのも解るけれど、面白い本に触れてさ、興味あることに特化していってほしい。これからの社会は『オタク』が求めれられる社会だと思うから。スペシャリストって言い方をしてもいい。
好きってエネルギーは本当に強いよ。どんな辛いことも乗り越えられるし、辿った道筋を振り返るとトンデモないことになっているかもしれない。
好きなことを見つけて、それに関してスペシャリストになってほしいね。
何でもいいから語ってほしい」
カエル「……珍しくまともなことを言ってるね」