カエルくん(以下カエル)
「今週も大作映画が続いて大変だね」
亀爺(以下亀)
「シルバーウィークとはいうが、3連休があって、平日が2日あってまた休日というだけじゃ。夏休み明けということもあって、それほど有り難みもないような気がするがの」
カエル「それでもここでたくさんお客さんが入るから、どこの映画会社も力を入れてくるんだろうね」
亀「どうなんじゃろうな。シルバーウィーク自体が有給などを使わないと成り立たんと思うし、単なる3連休であれば、ハッピーマンデー以降、ほぼ毎月あるわけじゃろう? ここで大作同士をぶつけ合って潰し合うのが得策とも思えんが……」
カエル「公開時期を決めた段階では他の映画会社が何を持ってくるかわからないし、東宝とか大きい映画配給会社だとぼぼ毎月何らかの注目作があるから、別にいいんじゃないの?」
亀「そんなものかの。わしからすると、すごく忙しくなるから大変じゃよ。今週はあっちもこっちも書かねばならんからの」
カエル「……さすがにそこは知らないよ」
1 簡単な感想から
カエル「じゃあ、まずはBFGの簡単な感想からだけど……やっぱりディズニー×スピルバーグということもあって、世界観だったり映像表現は抜群だね!」
亀「やはりこれだけ素晴らしい世界を作り出せるのはアメリカしかないの。邦画ではこのスケールの世界観のCGを作り出すのは不可能じゃろうからな」
カエル「巨人もそれぞれ個性があったしさ。BFGも巨人だけど、実は心が優しいとか、そういう描写も良かったよね。他の巨人も見た目からして恐ろしい存在だったし」
亀「そうじゃの。巨人の恐ろしい面が強調されておったの」
カエル「あとは……え〜っと……何を語ろうか?」
亀「……実際、この映画を語ろうと思うと、かなり難しい。中身があまり詰まっておらんし、大きな欠点もないんじゃが、大きな長所も見当たらん。それこそ、絵の素晴らしさや世界観の面白さ、ギャグのホンワカした空気感などは面白いが……それについて語るということもないしの」
カエル「なんていうんだろうね……多分、大多数の人が100点満点中40点から60点をつけるイメージかな?
0点ってことはないけれど、100点ってこともないような……」
亀「今回はスピルバーグもディズニーと組むということで、子供向けを意識したのかもしれん。原作も結構古い話のようであるが……わしは原作を読んでおらんが、王道の子供向けファンタジーなのじゃろうな。
それと大きく変更することもなかったんじゃろうが、時代も違うし、表現も違うからの。それが大きく足を引っ張った印象じゃな。
どれ、ここから細かく考えていくとするかの」
以下ネタバレあり
2 ネタバレありの感想
カエル「まあ、まずはここに尽きるよね。結局主人公の女の子とBFGは何をしたかったのかな?」
亀「それが全くわからんのじゃ。もちろん、最初は女の子は帰りたがっていたがの、BFGは帰すのに難色を示しておった。まあ、理由はわかる。
でもその女の子が帰った元の世界に……例えば家族がいるとか、幸せな生活があるのかというと、そういうわけでもないようじゃな。では、帰る必要があったのかどうか……」
カエル「そこはほら、本能的にこんなとこにいたくない、帰りたいって思うのは当然でしょ?」
亀「それもわかるがの。いつの間にか目的が帰ることから、巨人たちをこらしめることに変わっておった。
その理由もわかるんじゃがな……なんというか、目的が一貫しておらん。確かにその場その場で考えたら理解はできるから、大きな減点にはならんのじゃが、目的が一貫しておらんから、その目的を達成してもカタルシスになりづらいんじゃよ」
カエル「まあ、そうだよね。結局この物語って何がしたかったのか、よくわからないし……」
亀「ファンタジーってそういうものだというならば、確かもそうかもしれんがの。
あとはBFGが集めている夢も、武器としては機能しておったし、大事なものではあったが……なんというか物語における『意味』が少し欠けていたようにも思うの」
女王陛下に会いに行く
カエル「ここがさ、すごく疑問だったんだよね。BFGは巨人の中では小さいと言っても、相当大きい存在じゃない? それが隠密行動を取るの面白いといえば面白いけれど、その方法も少し雑じゃなかった?」
亀「そういうところがご都合主義っぽく感じたの。いや、画面としては面白んじゃが、他の巨人もあれだけの大きさでありながら、ほとんど見られることはないんじゃろ? その理由があれだと、納得はできん」
カエル「あとさぁ、思うよねぇ。あ、帰るんだって」
亀「……これは『バケモノの子』の時も話したと思うが、こういう異世界に旅たつ物語というのは基本的に『帰ること』が最終目標に設定した方が物語が作りやすくていいと思うの。
ここで簡単に帰れたら、主人公が頑張る意味とか、目的が一気に失われてしまう。確かに巨人は倒さねばならないが……」
カエル「その倒し方だけどさ……」
亀「もう、ギャグじゃの。ファンタジーなのに、巨人を倒すのが軍隊というのは、スピルバーグはギャグとして狙ったのかもしれんが、そうだとしたら滑っておったの。
あの世界観に唐突にやってくるヘリコプターという時点で、世界観が一気に崩壊してしまったの」
全体の構成
カエル「なんというかさ……すごく眠くなってくるストーリーなんだよねぇ」
亀「全体的に間延びしてしまったの。約2時間あるストーリーじゃが、どうじゃろうな、これだったら100分ほどに短縮することができたのではないかの?」
カエル「いや、面白いかつまらないかと言われたら、まあ、ほどほどに面白いんだけどさ……」
亀「物語を作る上でのメリハリがなさすぎるからの。確かに主人公の女の子はピンチに陥るが、それも『どうせどうにか助かるんでしょ?』という意識もあったし、なぜ逃げ切れたのか、そのロジックも弱いように感じた。
……1回目のピンチよりも2回目のピンチはより緊迫したものにしなければいけないが……確かに2回目のピンチの方が巨人の数が増えて大変なのじゃが、基本的には1回目にクリアしたピンチをまた繰り返しただけじゃからの。
そのピンチを乗り越えた先に、目的が……ないというのが、この作品を退屈なものにしてしまっておる」
最後に
カエル「……今回は映画感想として相当短めのものになったね」
亀「映画感想としては過去最短かもしれんの。それだけ、語ることがないということじゃ」
カエル「……でも、不思議だよね。シーンごとに見れば面白いのに、全体を流してみると微妙になるってことがあるんだね」
亀「スピルバーグもファンタジーは苦手、ということことかの?
子供受けは少しはするじゃろうし、悪くはないが、オススメできるかというと……微妙なところじゃな」
カエル「今月公開の中では一番子供向けでは楽しめる内容かもしれないけれどね」
亀「その意味ではディズニーだし、興行収入も伸ばすんじゃろうな」
カエル「大人が見るならあまりオススメはしないけれど、子供と一緒ならアリだよね。ただ、もしかしたら寝るかもしれないけれど」
亀「ただ、他に子供と一緒に行く上でいい映画があるわけではないから、これでいいのではないかの?」
カエル「なんかオススメする理由も消極的になるよね……」
亀「本当に語るのが難しい映画じゃの……」
ビー・エフ・ジー:ビッグ・フレンドリー・ジァイアント・オリジナル・サウンドトラック
- アーティスト: V.A.
- 出版社/メーカー: WALT DISNEY RECORDS
- 発売日: 2016/09/14
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る