カエルくん(以下カエル)
「……ほら、主、ちゃんとこっちに来て言わないとダメでしょ?」
ブログ主(以下主)
「……ああ、うん」
カエル「ええ、ではまず、謝罪から始めさせてください」
主「……当ブログ内では91Daysの感想記事は3話ごと、9話まですでに公開しておりますが、9話の感想記事においても4人目の犯人を『コルテオだ!』と決めつけており、大変申し訳ありませんでした。
コルテオは本物の『兄弟』でした!」
カエル「ここに謝罪し、コルテオに謝罪するとともに、見事な話を作られたスタッフ陣に敬意を表したいと思います」
主「……やっぱり、これはやっておかないとねぇ」
カエル「本当にさ、10話以降のクライマックスに向けての衝撃度ってすごく大きかったよね。最近は美少女がたくさん出てたり、人気男性声優を出してイケメンをたくさん出す作品ばかりな印象だけど、ヒロイン不在、媚び0でもこれだけ面白いドラマ性のある作品を作れるという、良い証明になったよね!!」
主「いや、別に美少女たくさんでも名作はたくさんあるよ? だけどさ、逆に男ばかりの骨太ドラマで名作アニメって久々にみた気がする。2時間の映画でまとめられたら、絶対に観に行くね!」
カエル「ね! こういう作品が毎期1つはあって欲しいけれどなぁ……
じゃあ、感想を始めようか!」
1 家族と兄弟と復讐劇
カエル「91Daysの特徴といえば、やっぱりこれに尽きるよね! 家族と兄弟を巻き込んだ復讐劇というのは、見ているこちらも非常に高ぶってきちゃった!」
主「アヴィリオもネロも最初は同じところにいるんだよな。両親がいて、兄弟がいて、親友がいてというさ、その差はあまりない。
だけどそれは当然のように、1話の冒頭ですでに格差がつくんだよね。そこからこの物語は始まるわけだけど……」
カエル「そしてアヴィリオは全てを奪い取ることに成功するわけだ」
主「そうね……まずは親友を、その次は兄弟を、そして家族を破滅させ、すべてを奪い取るわけだけど……じゃあ、その意味ってなんだったんだろうなって思ってさ」
カエル「意味、ねぇ」
主「それが『全て無駄ごと』に繋がるとしたら、とんでもなく虚しいことだよなぁって。あの時アヴィリオがとるべきだった選択は、コルテオと一緒にどこかへ行って、まともに暮らすことだったんだろうなぁって思うとさ、虚しくなるものがあるよ」
カエル「マフィアものの王道だよね。結局のところ、マフィアとしてのし上がっていくというのは、どこまでも堕ちることと同じ意味なわけじゃない? 大物になればなるほど、人間としてはダメになっていくわけでさ」
主「そうよねぇ……
でも、じゃあ逆の立場だとしたら……奪ったのがアヴィリオで、奪われたのがネロだとしたら……どうなったのかねぇ」
カエル「それこそ、最初にコルテオ、次に弟、そして父と母などの家族に復讐を果たして終わるんじゃない?」
主「その意味でも鏡面性なんだろうな。全て同じものを持っていたはずなのに、それを奪った側と奪われた側という意味で。
アヴィリオは当然巻き込まれたくなかったけれど、ネロだってやりたくてあの事件を起こしたわけじゃないしな」
コルテオについて
カエル「何度も疑っちゃったけれど、やっぱりコルテオの描写って大きかったよねぇ」
主「やっぱりさ、過去を知る存在だし、疑われる要素がすごく大きかったように思うんだよ」
カエル「それこそ、疑おうとすればいくらでも疑えるキャラクターだからね。アヴィリオの真意も知っているし、酒を作る能力もあるし、マフィアが嫌いだしと考えると同士討ちを狙ってという効果もあったと思う」
主「そういったある種の『疑念』が、コルテオの最期についてより、感動的なものにするんだろうな。まんまと引っかかった間抜けがここにいるわけだけど……多分ここでコルテオに対して疑念を抱いた人が、一番感動するようにできているんだよね」
カエル「疑った分、実は全く悪くなかったと判明した時に『ごめんなさい!』って言いたくなるもんね。Twitterとかでもそういう話がたくさんあったんじゃないかな?」
主「あとはさ、アニメとして描かれると理解できない部分もあるけれど……まあ、後出しの答え合わせ後の考察になるけれど、よくよく考えたらコルテオって犯人になるわけがないんだよね」
カエル「それはなんで?」
主「コルテオが黒人……というか有色人種だから」
カエル「あ〜、そうか、差別か」
主「そうそう。1930年代のアメリカといえばだよ、まだまだキング牧師が公民権運動を始めるずっと前のことで、それこそ有色人種といえば奴隷と同じような扱いをされたわけだ。
もちろん現在に放送される作品だから、そこはマイルドに描がかれているけれど、本来は有色人種と白人が友情として付き合うことって、あの時代を考えたらありえないんだよね。それこそ、1960年代まで映画に出ることすらできなかったんだから」
カエル「そりゃあね。だから10話においてお婆ちゃんもお金はくれたから少し優しくしたけれど『兄弟』って言葉に顔を歪めたわけだもんね」
主「そうそう。この時代で有色人種と白人が同じ家に暮らすだけでもおかしな事態なのに『兄弟』とまで言い始めた日にはもう、悪魔と手を結んだとしか思えないんじゃないかな? 現代日本でいうとどうだろう……国籍不明の怪しい外国人と同居するとか、そういうレベルですらないと思うからね。
だから、あの2人の関係ってただの友情関係を超えた、さらに深いものなんだよ。それを考えたら裏切るはずがないんだよ」
カエル「……それをもっと前に気がついていればね」
主「人種差別問題は主題じゃないし、さすがに気を使っているのが描かないから気がつかなかったわ」
作品の主題
カエル「過去の感想記事を読み返しても誰が4人目なのか? ということに注目しすぎた気がするね」
主「そうねぇ。そこを考えるばかりに、ミステリーとして楽しみすぎて、アヴィリオの復讐劇という点を重視することができなかったかな。それは本当に、自分の中で『見誤ったなぁ』と反省する部分だよ。
叔父貴だと4人目に弱いかなぁ? なんて思ったけれどさ、そこはまあ、どうでもいいといえばどうでもいいんだよね。基本的はアヴィリオとネロの復讐と友情の話なんだから、誰が4人目かというのはそこまで重大なことではなかった」
カエル「その意味では叔父貴というスタッフの選択はどうなの?」
主「すごく良かったと思う。意外性を強調するには少し弱い人選かな? とも思ったけれどさ、でもドラマを作る上では最適だったし、復讐劇を邪魔することなく物語に入っていけた。
ここで下手にミステリーを入れると、話がバラバラになってしまう危険性もある中で、よくこの選択をしてブレずに復讐劇にフォーカスを当てたなぁと感心する」
2 なぜアヴィリオはネロを殺さなかったのか?
カエル「さて、ここからお楽しみで、みんなが意見が違ってみんな良いという考察の時間だけど、主はどう見た?」
主「……もちろん、それはファミリーを壊滅状態に追い込むことにより、ある程度の復讐劇はすでに終了しているというのはあると思う。
だけど、それはあくまでも状況によるものであって、それが理由ではないと思うんだよね。これをここから考察していこうかな」
OPの歌詞
カエル「これは凛として時雨の曲だよね」
主「著作権上の問題もあるから、歌詞をそのまま載せることはないけれど、この歌詞を読んでいるとあることに気がつく。
この歌詞って完全にアヴィリオのことを歌ったもので、単なるタイアップとは訳が違うんだよね。普通はもっと……作品と関係なかったり、主題に沿わないものが多い中で、この特殊な主題の作品に見事に合わせてきた」
カエル「やっぱり目を引くのは『憎しみ』と『君を殺せないから』や『罪が創った僕』とかだよね」
主「そう。やっぱり憎しみがないとアヴィリオは復讐を果たすことができない。その復讐を果たすには一緒に過ごしすぎたというのもあると思うけれど……それ以上に、この2人って同一になりすぎたんだと思う」
カエル「同一?」
主「親友も失い、兄弟も失い、家族も失った。
アヴィリオの場合はそれらのものを失ったのは、ネロのせいでもあるわけだ。ただ、ネロはこの3つを奪う時に直接手を下していない。親友を……コルテオを撃ったのはアヴィリオだし、家族を撃ったのは父親なわけだしね」
カエル「確かにね、ネロが直接手を下した人って相当少ないよね」
主「コルテオに関しては命令をしているから下したも同じだけどな。
そしてアヴィリオは、結果的にこの3つを直接手を下して奪ったわけだ。ヴァンノはもちろん、フラテも撃ったのはネロだけど、そこまで追い詰めたのはアヴィリオだし、そして家を潰したのはアヴィリオである。つまり、この状況下において、この2人は互いが『復讐の相手』であり『復讐の目標』であるわけだ」
カエル「こういうところでも鏡面性のある存在なんだね」
主「そう。それまでは差があったけれど、この最終話においてこの2人は同じ立ち位置にいるんだよね。だからさ、多分……もう撃つ理由がないんだよ。同じ状況にいる相手を撃つというのは、アヴィリオの本望ではなかったんじゃないかな?」
ラストシーンの考察
カエル「そしてあのラストの流れになると思うけれど……主はどうなったと思う?」
主「ここは余韻を残すためにあえて描写をしていないから、正解はないよ。この最終回の素晴らしいところは『無』を強調しているところだから。例えば、無音のシーンが結構多かったじゃない? ダイナーとか、海とかさ。ダイナーは薄く音楽があるけれど、あれはラジオから流れる環境音なんだよね。そういった環境音はあるけれど、それ以上の音は入れない演出。
そういう演出によって、独特の空気感を作っているのも……『アヴィリオの復讐の無意味さ』などを表す意図があると思う」
カエル「そして……あのラストにつながるわけだ」
主「あそこは人によって解釈が分かれていいと思う。思うけれど、個人的には……ネロはアヴィリオを撃たなかったんじゃないかな?」
カエル「それはなんで?」
主「ネロはアヴィリオの親友も、兄弟も、家族も撃っていないんだよね。
だからさ、同じ境遇になったネロがアヴィリオを撃てるかというと、多分撃てないと思う。仲間思いだし。
……個人的には思うのは7年前にアヴィリオを撃てなかったことをネロは後悔しているのかというと……多分、海で撃った瞬間は後悔していないと思うんだよ。確かに最悪の結果を招いたけれど、それも自業自得だしさ。
だからあの最後の笑顔は……全てを吹っ切れった表情なんじゃないかな?」
カエル「でも、ここで死にたがっていたアヴィリオを撃つというのもいいラストだよね」
主「そうね。だけど、この作品の復讐って直接手を下すことではなくて、相手を絶望のどん底に突き落とすことじゃない? だから、ネロにとってアヴィリオへの復讐はその望み通りに殺さないこと。生き残ること、それこそが復讐だろう。
まあさ、あんなことをしでかしたんだから、待っているのは地獄だろうけれど」
カエル「そして足跡が消えるわけだね」
主「二人は死んだとも、色々な意味が受け取れるけれど……それはやっぱり、個人個人でいいと思う。
ただ、思うのはさ、あそこで死んだのは『アヴィリオ』であって『アンジェロ』ではないんだろうなって。
アヴィリオとしての人生を終えて、アンジェロになる……それがこの作品のラストだとしたら、自分は美しいと思うけれどね」
最後に
カエル「というわけで91Daysの感想だけど、全体を通してどうだった?」
主「もともと、1話の時点で今期1番をつけていたし、マフィアものが大好きだったこともあるけれど、やっぱりいい作品だよね。これほどの作品はテレビシリーズでもそうないんじゃないの?
もちろん夏アニメでは1番だし、ストーリーものでは今年のテレビシリーズで1番の評価をつけたい」
カエル「作画的には怪しいところもあったけれどね」
主「そこを全て脚本や演出でカバーしたな。特に最初に挙げたけれど、10〜12話はケチのつけようがなかった。とんでもなく面白い作品だったよ」
カエル「主の好きな浜田賢二もいたしねぇ」
主「やっぱり、マフィアものっていうと個人的には浜田賢二とかが出てくるからなぁ。絶対に不可能な要望をするならば、ドン・ガルシアには故人だけど家弓家正さんだったら、もっと興奮しただろうね。やっぱり、悪役に定評がある方だったから」
カエル「さて、これで月も変わって、今日から10月! また大変な秋アニメのスタートだよ!」
主「この作品を超えるのも大変だけど、どんな作品に出会えるか、楽しみにしていきたいね」
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