カエルくん(以下カエル)
「2018年1発目の月間振り返り企画ですが……今月はいきなりちょっと異例のことになっています」
亀爺(以下亀)
「いつもは月間ランキングとしてベスト5として発表するわけじゃが……今月はいきなり5選となっておる」
カエル「2018年1発目からレベルの高い作品が並んでいるために、ランキングとして選ぶことができませんでした」
亀「しかも、この1月でとんでもなく高い評価が飛び出したNetflix限定の『デビルマン crybaby』は当然のように除外しておっての、この作品群じゃらかの……例年では1月は新年ということもあって、そこまでビックネームは並ばないように思うが……今年はいきなりとんでもない月になったの」
カエル「ちなみに、今月は『長編アニメーションの新しい景色』というアニメーション映画のイベントに参加していたため、劇場公開作品は若干少なめの本数になっています」
亀「その中でも当たりの作品が多かった。
そのイベント上映された作品は除外ではあるが、中には日本で公開される作品もあるであろうから、その時はレビューしていきたいの。
では、記事の始まりじゃ」
対象作品
記事にした作品
以上8作品(少ないかなぁ……)
記事にしていないが鑑賞した作品(公開3ヶ月以内)
COCOROS
南瓜とマヨネーズ
52Hzのラブソング
花筐
嘘八百
宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち/第4章 天命篇
以上14作品がノミネートです
劇場で鑑賞したがノミネート外の作品
シネマ狂想曲〜名古屋映画館革命〜
サイコノータス 忘れられたこどもたち
さかなの子、リトル
天国から見放されて
サリーを救え!
バーンスタンス・オブ・ビジョン
PIRCING!
以上7作品、計21作品鑑賞。数だけで見ると結構観ているなぁ……
ちなみにこの中だと幻のアニメ映画を扱ったドキュメンタリーの『バーンスタンス・オブ・ビジョン』と、おそらく日本公開されそうな『サイコノータス』は特に自分の中でも評価が高いです。
ただ気軽に『ぜひ鑑賞を!』とは言いづらい作品でもあるんだよなぁ……
1作品め
花筐
作品紹介・あらすじ
日本映画界の巨匠、大林宣彦がガンに侵されながらも自らの気力を振り絞って撮影された1作。本作の脚本自体はデビュー位戦に書き上げており、戦争3部作の最終章でもある。大林宣彦らしい青春群像劇でありながらも、この当時の戦争の影に翻弄されていく若者たちを映し、また色合いやアングルなども実験的な映像美でありながらも娯楽作としても楽しめる作品に仕上がっている。
主役は窪塚俊介のほか満島真之介、長塚圭史、矢作穂香、常盤貴子、山崎紘菜、門脇麦などが戦争に突入する日本で生きる若者を演じる。
1941年の春、進学した俊彦はクラスメイトの鵜飼や吉良、阿蘇と仲良くなり彼らと交流を深めていった。俊彦は叔母の元で暮らしていたのだが、その家には肺病に罹患している美那がおり、その美那の友人であるあきね、千歳と知り合っていく。
やがて様々な経験を経て、恋を知っていく若者たちであったのだが、戦争の影は刻一刻と濃くなっていくのだった……
カエル「まずはこの作品から!
昨年末公開ながらも、多くの映画雑誌でも絶賛されて賞レースで勝ち抜いてきた作品だけあって、やはりとんでもない快作であったね!」
亀「まあ、実際の所は映画雑誌の選者も人間であるから、後半の時期に……特に10月以降に公開された映画が印象に強く残るというのもあるじゃろう。特に大林宣彦という名前もまた選ぶ人には多くの思いがあるじゃろう。
そういう思い入れを抜きにしたとしても、今作は見るべき価値のある作品となっておる。昨年は邦画が苦戦したと言われておるが……『あぁ、荒野』とともに今作もまた昨年の邦画界の主役の1作と言っても過言ではないかもしれんの」
カエル「映画というよりは舞台の方が近い印象もあるかなぁ……かなり独特な映画でもあって、しかも2時間40分くらいととても長い上映時間でもあるけれど、そこまで長さも感じない作品でもあって……
自分なんかは大林宣彦というと、やはり青春映画という印象があるんだけれど、今回もその青春の危うい雰囲気などもあって……」
亀「本作は昭和の戦争直前の、あの独特の雰囲気を見事に映しておる。
学生服の青年たち、そしてサナトリウム文学のような儚い少女、そこに女性同士、男性同士の倒錯的なつながりもあり……2時間40分の中に様々な青春が詰め込まれており、見ごたえ抜群な作品である。
昨年公開の韓国映画『お嬢さん』などが好きな人には響く内容でもあるのではないかの?」
2作品め
作品紹介・あらすじ
永井豪が1972年に連載を開始し、巨大ロボットが悪の軍団と戦う中でも代表系な作品である『マジンガーZ』を劇場アニメ化した作品。
兜甲児役に森久保祥太郎、弓さやか役に茅野愛衣とキャストを一新しながらも、石丸博也や松島みゆりも出演し、主題歌もなじみの深い水木一郎が担当するなど、昔ながらのファンを取り込みながらも新しく生まれ変わるマジンガーZになっている。
監督はプリキュアシリーズなど東映作品に多く関わる志水淳児、脚本は小沢高広が務める。
テレビアニメから10年後の世界、Dr,ヘルの野望から人類を救った兜甲児は科学者となり、光子力や古代の遺跡について研究する多忙の日々を過ごしていた。そんな中、富士山の地中深くから謎の古代建造物が発見され、発掘したところマジンガーの何倍もの大きさを誇る新たなマジンガーが発掘された。
その調査を開始したところ、謎の少女が現れる……
それと時を同じくして倒したはずのDr,ヘルたちが再び姿を現しアメリカの光子力研究所と剣鉄也に襲いかかっていたのだった……
カエル「ここでアニメ映画が登場!
今も大きな影響力がある永井豪の代表作をリメイクした作品だけれど、今月1番『好きな』作品を挙げろと言われたら、やっぱりこの作品になるんじゃないかな?」
亀「もちろん大人気作品であり、歴史もあってファンの中でも色々な意見もあると思うがわしは永井豪作品の現代リメイクとしては正当な大傑作じゃと思っておる。
アクションは文句なしの大迫力、そして永井豪らしい馬鹿馬鹿しくもある萌え(セクシー)描写、熱血、根性などもあって圧倒的に楽しい作品じゃったの」
カエル「だけれど、かなり現代的な作品でもあって……光子力エネルギーとは何か? ということをきっちりと考えながらも、その未知であり恐ろしい力を持つものを科学者としてどのように向き合うのか? という物語でもあったね」
亀「この手のスーパー系の敵というのは脳筋の力押しばかりであったり、意味もなく世界征服を望んでおる場合もあるが、本作の敵のボスであるDrヘルの目的や人間に対する攻撃方法なども画期的なものであった。
そして軍人であった鉄也のその後の幸福なども含めて、マジンガーZの正統続編として見事な作品に仕上がっているの」
3作品め
パディントン2
作品紹介・あらすじ
1958年に出版されたイギリスの代表的児童文学である『パディントン』のシリーズ第2弾。前作に引き続きイギリスに移住しているパディントンと周囲の人々の織り成す、ドタバタとしていながらもハートフルなストーリーを展開する。
監督は前作に引き続きポールキングが脚本も担当しているほか、今作ではヒュー・グラントが起用されコミカルながらも恐ろしい敵を演じている。
日本語吹き替え版も主人公のパディントンを松坂桃李が引き続き演じ、敵のフィリックスは斎藤工が担当、若手人気俳優の共演も話題に。
前作にてペルーからイギリスに渡ってきたこぐまのパディントンはすっかり街に定着し、一緒に暮らすブラウンさん一家と楽しく暮らしていた。そんな中、故郷に残してきたルーシーおばさんの100歳の誕生日のためのプレゼントを選んでいる最中、ロンドンの名所がたくさん描かれた飛び出す絵本を見つけるが、世界で1冊しかないという高価なもののため働くことを決意。
しかし、その絵本を欲していたのはパディントンのみではなかった……
カエル「パディントン2って盛り上がっているのかなぁ? やっぱり1を観ないと……と思う人が多くて、倦厭している人もいるのならば、本当にもったいない作品だよねぇ」
亀「もちろん1を観ておいた方がベストであることは変わらん。しかし、1を観ないでもいいから是非とも鑑賞してほしい1作じゃの。
例えば、ターミネータ1を観ないで2を観た人も多いじゃろう。それと同じ感覚でも構わん。それほどまでに見てほしい1作じゃと思っておる」
カエル「圧倒的な高評価が続いているけれど、この作品を超える完成度の作品て今年でてくるのかなぁ? と思うレベルで……それこそ完成度は『ズートピア』とか、あとは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などの歴史的名作とタメを張る作品だと思うんだよ。
子供も大人も誰が見ても楽しめて、しかも笑って泣けて楽しかったね、で終わる大傑作で……」
亀「しかも教育的配慮も行き届いており、そのメッセージ性も素晴らしい。
わしはこの作品が嫌いという人は……もういないと断言してもいいのではないか? と思うほどじゃ。
1月公開では万人に1番オススメしたい作品でもあるので、是非劇場に行って欲しいものじゃな」
4作品め
祈りの幕が下りる時
作品紹介・あらすじ
人気作家の東野圭吾が原作を務める『新参者』シリーズの完結編。阿部寛が演じる加賀恭一郎シリーズとしては10作品目の映画化となり、他にもテレビドラマシリーズが放送されるなど高い人気を誇っている作品でもある。
今作では主人公の加賀恭一郎の過去が明らかになる完結編にふさわしい作品となっており、過去のシリーズなどで登場したキャラクターも再登場する。
監督は『私は貝になりたい』などの映画以外でも『下町ロケット』『半沢直樹』で高い評価を受けている福澤克雄、脚本家はTBS主催の脚本賞を受賞し、初映画作品を担当する李正美。
東京都葛飾区のアパートで異臭に気がついた住民が警察に通報したところ、死後20日ほど過ぎた絞殺遺体が発見された。被害者は滋賀県在住の押谷道子。そのアパートの住人も姿を消し、重要参考人として警察も追っていくが一向に手がかりは掴めない。
そして加賀は16年にわたって追ってきていた母の元交際相手がその事件に絡んでいるのではないかということをにらみ、捜査を行っていく。そのうちに加賀の過去に深く関わることが判明していくのだった……
カエル「大作邦画では今年初の傑作ってことになるんじゃないかな?
新参者シリーズの最終章だけれど、それまでこのシリーズを見たことがない人でも楽しめる作品に仕上がっています!」
亀「突っ込みどころがないわけではないのじゃが、そのラストで『ああ、いい映画を見たなぁ』と思わせるところがわしは好きじゃの。世間的な評判もかなり高く、説明的な台詞などドラマ的な要素や演出なども見受けられるものの、映画館で鑑賞して間違いない作品に仕上がっておる」
カエル「特に役者陣だと松嶋菜々子の存在感だよね!
あとはネタバレになるから言えないけれど、あのベテラン俳優も良かったし、もちろん阿部寛も存在感があって!
いつもの阿部寛の演技でもあるんだけれど、だからこそこの作品が重くなりすぎなかった部分もあるんじゃないかな?」
亀「バンのシーンなどでも尖った演出などもあり、映画として映像で魅せようという気概にも溢れておる。
決して映像化に向いておる原作とは思わないが、それでもグイグイと引き込まれるように物語も整理されており、オススメの1作に仕上がっておるぞ」
5作品め
殺人者の記憶法
作品紹介・あらすじ
韓国のベストセラー小説を映画化し、韓国でも興行収入1位を達成するなど高い評価を受けたウォン・シニョン監督作品。
『監視者たち』などの作品で韓国を代表する俳優ソル・ギョングがアルツハイマーにかかってしまった元連続殺人鬼を演じ、現代で殺人を繰り返す男との対決を描く。脚本は『オールドボーイ』などのファン・ジョユンが務める。
獣医として町で開業しているビョンスはアルツハイマーにかかってしまい、自分の記憶が正しいのかもわからなくなってしまっているような状態だった。娘と2人で暮らしているビョンスは、過去に大量殺人を起こしており、遺体を竹林に埋めて警察の目をごまかしている過去を持つ。
そんなある日、隣町で女性ばかりを狙った連続殺人が発生していた。
町へと戻る道中で事故を起こしてしまい、相手の車を見るとトランクから血が滴り落ちていた。
果たしてビョンスが出会った相手が本当に殺人鬼なのか?
そして物語は想像を絶する展開へと向かう……
カエル「今年も韓国映画は強いのか!?
この『アルツハイマーを抱える殺人鬼』という設定だけで絶対に面白い! と確信できる作品でもあったね!」
亀「韓国映画はバイオレンスが売りの映画もあり、中にはグロテスクすぎて苦手という人もおるかもしれんが、本作は確かにバイオレンスな描写も多いながらも、比較的グロテスクな描写は抑えめになっており見やすい作品に仕上がっておる」
カエル「この映画の面白さって多くの人に伝わりやすいんじゃないかな?
まず設定だけでもとんでもないよね。こんな作品を作れるのはおそらく韓国だけじゃないのか? って思わせられるほどで、ちょっと問題がありそうな描写もあるんだけれど、でもそこから逃げずに描写しているし」
亀「そもそもどこまでを信用すればいいのか? それとも信用してはいけないのか? 正解と不正解が入り混じる、ある種の混乱がある作品でもあるがそれが心地よくもある。
もう1パンチあれば大傑作になれる可能性もあったが……それでも脚本なども見事にまとまった作品に仕上がっておる。この手の映画が好きな人は必見の作品にしあがっておると思うぞ」
1月のまとめ
カエル「というわけでまとめですが……1月はかなりのハイレベルな作品が並んだのではないでしょうか?
もちろん1月だから、今月1位は2018年1位に暫定的に決まるんだけれど、好きで言えばマジンガーZ、完成度で言えばパディントン2はとてもレベルが高くて、12月に選定している年間ランキングも1月は不利だけれど、TOP10入りも十分狙えるのでは? といいうほどの作品だったね」
亀「これ以上の作品を望むことは難しいかもしれん。Netflixのオリジナルアニメである『デビルマン』も含めて、衝撃の大きな1ヶ月であり、2018年のいいスタートを切れたと言えるのではないかの?
この5作品それぞれ味が全く違う作品ばかりじゃ。
これだけバラエティの富んだ作品がそれぞれ傑作になるというのは、あまりないかもしれんの」
カエル「今月は新作映画はそこまで数を見ていないし、ブログの記事もそこまでかけていないのが反省点ではあるけれど……それでも濃密な記事を書けたんじゃないかな?」
亀「記事には難しかったアニメ映画たちですらもレベルが高いものが多く、劇場公開やソフト化された際は是非『サイコノータス』などは鑑賞してほしいの。
また、こちらも小規模上映であるが『COCOROS』なども胸にガツンとくる中編映画であった。
このような作品も含めて、レベルの高い1ヶ月であったの」
最後に〜2月の映画について〜
カエル「では、最後に2月の映画について語るけれど、まずはアカデミー賞関連の作品が多く公開されるね。
そんな中でも注目しているのは……やはりアニメ映画の『さよならの朝に約束の花をかざろう』が1番になるのかな」
亀「それとこちらも注目度は若干低いながらも『ぼくの名前はズッキーニ』がKUBOなどと同じように映画ファンの心をつかむ作品になるのではないか? と思っておる。
他には邦画では『羊の木』『リバースエッジ』『サニー/32』などの注目作が多く、洋画も『スリービルボード』『グレイテストショーマン』などの娯楽作も目白押しじゃ」
カエル「……しかも『マクロス』や『コードギアス』の劇場版もあり、小規模でも見どころのある映画が多くて、これでも1月よりも更に忙しくなることはほぼ確定というね」
亀「もっと気合を入れていかんといかんの。
最近は更新頻度も若干落ち気味ではあるが、なんとかして維持しながらも新作、旧作と語っていくとするかの」
カエル「……2月は旧作は難しそうだなぁ」