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物語る亀

ネタバレありの物語批評

物語の作り方〜映画のメリット、デメリットと映画の未来〜

物語論

 物語の作り方シリーズの更新。

 今回は映画のメリット、デメリットについて考えていく。

 なお、今回語る映画は『実写映画』に限定していきたい。

 

 

前回の漫画の記事はこちら。

 

blog.monogatarukame.net

 

 1 映画のメリット

表現技法の多さ

 まず上がるのはこの表現技法の多さであり、例えば演出と一言で言ってもカメラワーク、カット割り、小物の使い方や、役者の演技、音楽、その他多岐にわたって工夫するポイントがある。今挙げたのもほんの一例であって、もっと気をつけなければならないようなポイントもいくらでもあるだろう。

 この表現技法の多さは映画という媒体自体のハードルを上げてしまった(気にしなければいけないポイントが増えた)こともあるが、工夫するポイントが多い分一つ一つを丁寧に扱えば伝わりやすい物語となる。

 

表現できるジャンルが広い(条件付き)

 これは条件付きのメリットになるが、表現できるジャンルはそれなりに広い。例えば現代劇はもちろん、時代劇、SF、ホラー、ファンタジーや、その他多くのジャンルを扱うことができる。

 ただし、これには当然先立つものが必要で、それが用意できなかったり技術的な問題により見るも無残な作品に仕上がる可能性もある。

 

情報量が多い

 これが最大のメリットかなぁ

 小説や漫画のような紙媒体や、アニメのような全てを1から創作した絵で表現しなければいけない媒体と違い、映画の場合は実写撮影されて音楽なども流れるために、情報量は格段に多い。

 作品ジャンルにもよるが、リアルな絵というものを作る必要がないのだ。

 初めからリアルなのだから。

 漫画やアニメのような絵で魅せる作品は、リアリティを追求しながらも絵としての美しさも追求しなかればいけないが、実写の場合はリアルなのでリアリティは追求する必要がない。

 

 他にもリアリティでいえば、漫画やアニメなどの絵の場合、関節の曲がり方がおかしい、指が6本あるなどのミスもありうるが(細かい部分では1コマ前と挙げている手が左右違うなど)実際に人間が演じている映画ではそのような人体構造からしておかしい、などのことにはなりづらい。

 

 

2 デメリット

場所を選ぶ

 これは映画を観る場所の話である。

 例えば新作作品を観ようとしたら、まず映画館に行かなければならない。

 他にも配信やDVDで鑑賞するということがあるが、それも家のようなテレビがある場所でないと見づらいし、漫画や小説のようにどこでも手軽にというわけにはいかない事情がある(最近はタブレット端末もあるものの、大画面で見ることを前提とした作品も多いために、細かい部分が見えづらかったり、あるいは画素数等の問題で美しい絵の魅力が半減されたりする)

 

予算、時間がかかる

 これが映画を作る時に1番ネックになりやすいポイントである。

 思いたったらすぐに作れる小説や漫画と違い、非常にたくさんの人員を集めなければならない映画は、それだけの予算がかかる。安い自主製作作品もあるにはあるが、それでプロとして集客が望めるレベルの作品を作るとなると、非常に高い技術と計画性が要求されるだろう。

 

 では今度はお金を集められるプロデューサーがついてさて満足、かというとそんな訳はなく、それだけの大きなお金が動くということはそれだけシガラミもできるということである。

 各方面に気を使い作品を作る必要があるので、それだけ縛りも多く、それだけに表現の可能性を追求するような意欲作というのは、大作であればあるほどに出来づらくなってくる。

 なのでどれも似たり寄ったりな作品となってしまう。

 

時間的制約

 これはどういうことかというと、基本的に映画というものは2時間ほどの上映時間をぶっ続けて観ることを前提としている。

 なので映画を鑑賞しようとすると、それなりにまとまった時間を確保しなければならない。電車やバスの中など、「ちょっと時間が空いたから映画でも」というわけには行き辛いのが実情である。

(もちろんダウンロード購入でもして途中から観るというのも手ではあるが) 

 

 以上が映画のメリット、デメリットだろうか。

 

 

3 映画のこれから

 基本的に表現の歴史というものは、情報量の拡大の歴史でもある。

 ハード面で言うと白黒で音もなかったサイレント映画から、トーキー映画となりカラー映画となり、特撮やCGの発展により、現在では驚くほど迫力のある綺麗な映像が楽しめるようになった。

 またソフト面で言うと、脚本や演出、カメラワークや音楽も発展してきたし、海外でいえばヌーヴェルヴァーグ、日本ではATGなどのような新しい作品を創作しようという運動もソフト面での情報量の拡大を狙ったものという言い方もできるだろう。

 

 映画はすでに文化として一定のポジションを獲得しており、『娯楽の王様』の異名の通り、これから大きく崩れるということはないだろう。

 ただ、少なくとも日本において『新しい表現としての映画』というものが、素人目ではあまり見えてこないことが少々気にかかるところではある。例えば、今週公開した作品が「10年前の作品だよ」と言われても納得してしまうのではないだろうか?

 

ハリウッドと日本映画

 一方、ハリウッドに目を向けるとCGの発展が目覚ましく、おそらくそう言ったCGをふんだんに使ったような豪華な作品ではもう日本は太刀打ちできないかもしれない。では、日本らしさを十分に発揮した作品を見たいと思うのだが、どうにも話題性の強い作品ではそれを望めるような状況にあるとは思えない。

 

 おそらく、映画業界人含めて誰もが模索している頃なのではないかな、と思うのだ、その一環として、『進撃の巨人』であろうが、『テラフォーマーズ』であろうが『ちはやふる』『64』『シン・ゴジラ』などの大作を作り上げながら、少しずつ模索していくしかないのではないかと考えている。

 そのために『シン・ゴジラ』にかかる期待というのは非常に大きい。これが当たるかコケるかによって、日本映画界が歩むべき道がまた一つ決まるような気がしている。

 

 私としては『るろうに剣心』や『BAKUMAN』のような漫画的手法を用いながらも、ハリウッドとはまた別の魅せ方をする作品というのはそれなりの可能性を秘めているように思うのだ。

 もちろんそれらの映画を量産するべきとは言わないが、少なくとも違和感のあるSF作品などよりは、こちらの方向でリアル感がありつつも派手なCG等を魅せる方向性の方が日本には合っているだろう。

(3丁目の夕日などはその路線だったのではないか)

 

 昔ながらの丁寧な人間関係を描いた作品も見たいものだが、そう言った作品は是枝裕和監督などに期待したい。本当は日本映画はこの路線が生き残る道があるように思うが、いかんせん地味すぎて玄人向けになってしまうだろうか。

 

 異論は多々あると思うが、今回はこんなところで終了としたい。

 この問題は興味の尽きないところなので、またいつか語るかもしれない。

 

勝つために戦え!〈監督篇〉

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