物語る亀

ネタバレありの物語批評

映画『真白の恋』感想 今年NO,1の邦画! 真白の思いと製作陣のメッセージに胸を打たれる……

カエルくん(以下カエル)

「今回は小規模公開映画の『真白の恋』の感想だけど……主はこういう映画をどうやって見つけてくるの?」

 

ブログ主(以下主)

「1つはTwitterだよね。映画が好きで色々な映画についてつぶやいている人がいるから、その人の評価を聞いたり。

 この映画の場合は……なんだったかな? 多分Yahoo!映画レビューだったような気がする。適当に劇場で公開する映画を調べていたら、偶然引っかかったのがこの作品」

 

カエル「ああいう大手レビューサイトとか、アマゾンレビューって色々言われているけれど信用できるの?」

主「そこまで信用度は高くないよ

カエル「……やっぱりそうなんだ」

主「いや、構造上しょうがないんだよ。誰もが面白いと思う映画が高評価だと思いがちだけれど、映画の面白みって色々あるじゃない?

 例えばファン向け映画の場合はお約束とかさ、ファンしかわからないようなことがあるわけ。それでファンは高評価をしたけれど、初見が映画としてみた場合にも面白いかと問われるとそれはまた別の問題であるわけでさ。

 あとは『シンゴジラ』とか『聲の形』とかは賛否両論あるけれど、ハマった時は大ホームランという作品もある。『桐島、部活やめるってよ』もそうかな?

 そういう作品の満足度の平均をとると大したことないというのはしょうがないんだよ」

 

カエル「じゃあ、あんまり役に立たないんだね……」

主「だけど、ある点ではすごく参考になる。もうこれは間違いないと言ってもいい」

カエル「え? そんなことあるの?」

主「この手のレビューサイトで2,0を切っていたら、みんなが認めた駄作ってことだから、クソ映画マイスター以外は近づかないのが吉だね

カエル「……あ! 先に言っておくと真白の恋は映画レビューサイトの評価が素晴らしく高いです! 勘違いしないでね!」

主「では感想を始めます」

 

 

 

 

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作品紹介

 

 富山県射水市を舞台にした恋愛映画。

 監督の坂本欣弘(さかもとよしひろ)は富山出身で、今作が初監督作品。プロデューサーも務めており、今年で31歳と若い監督でもある。

 主人公、真白役を演じる佐藤みゆきは今作が初主演となるなど、フレッシュな面々が揃う。

 真冬の富山の情景も非常に美しく、舞台なども実際にある建物を使用しているため聖地巡礼にも最適な作品。

 

 富山県に暮らす渋谷真白は日課である犬の散歩や、父親の経営する自転車の店番などをして1日を過ごしていた。

 そんなある日、兄の結婚式に出かけた先の神社で東京から来たカメラマン、油井と知り合い、自分に向けてシャッターを押してしまう。その写真の持つ魅力み惹かれた油井は真白にカメラを教えるのだが、真白にはある事情があって……

  

 

 

1 邦画に求めるもの

 

カエル「じゃあ、ざっくりとした感想から始めるけれど……」

主「今年ももう50作以上は映画を見てきて、邦画も大作を中心にいろいろと見てきたけれど……はっきりと断言しちゃうわ。

 今年NO,1の邦画です

カエル「お! ここまではっきりというのは珍しいかも……」

主「毎月のランキング記事でもその傾向はあるけれど、もともと小規模公開映画って評価が甘くなりがちというのもあるけれど……今作は頭1つ飛び抜けている作品だよ。

 最近の小規模公開映画だと海外の映画が多かったけれど、邦画でもこのクラスのものがあるんだ! といい勉強になったわ。最近小規模公開映画でも洋画ばっかり見ていたからなぁ」

 

カエル「ここ数年邦画とアニメが素晴らしいという流れが続いているけれど、この作品も決して負けていないんじゃないかな?」

主「決して負けてないどころか、この映画よりもいい映画を探すのは結構大変だよ。

 最近の邦画の良作は、派手な演出とか刺激的な画の作り方……エログロに満ちたものが多い印象があるんだよね。もちろん、それ自体が悪いとは言わない。自分が昨年絶賛した『シンゴジラ』も過激な演出という意味では同じようなものだし。

 だけど、本作は結構静かな物語で、考えようによっては普通の物語なんだよ。富山という田舎の町に暮らす、おそらくアラサーの女性が、東京から来たカメラマンに恋をする……ここだけ聞くとなんの変哲も無い物語。

 ただ1点、あることが決定的に他の映画とは違う。だからこそ、この映画は唯一無二の作品になっている」

 

カエル「公式サイトのあらすじでも語っていることだから別にネタバレにはならないんだろうけれど、ここは知らないで見て欲しいかなぁって気持ちもあるかな?」

主「自分はその秘密というか、この作品の特徴である、ある理由を知ってから見たけれど……知らない方が楽しめるんじゃないかな?

 なのでネタバレなしの部分では濁しながら進めていきます」

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主演の佐藤みゆきと福地祐介

富山の景色も魅力です

(C)sagan pictures

 

 

 

優れた箇所

 

カエル「じゃあ、ざっくりとどこがどう優れているのか、ということを語っていこうか」

主「先ほども語ったけれど、この物語って『普通』の物語なんだよ。田舎町を舞台にした恋愛映画であって、でてくる人たちもみんな普通の人。真白だけちょっと特殊な事情があるけれど、それを知っても『ふぅ〜ん……そうなんだ』と思うぐらい。

 悪人も出てこないし、聖人のような善人も出てこない。みんな一般的で常識的な考えを持った、普通の人の、そして普通の日常を描いている。

 その日常の中に『東京から来たカメラマン』という、異物が紛れ込むことにより真白の恋が始まり、そして『日常』の物語は『非日常』へと変化していく

 

カエル「だけど、その年頃の女性が男性と恋愛するのは普通のことだしね」

主「そう。だからこの映画って『普通』の映画なんだよ。

 もちろん、いろいろな人がいろいろな反応をするけれど、それも常識の範囲内であり、そしてみんなちゃんと真白を思っている。その気持ちも結構わかりやすいもので、どの立場の人でも、どの世代の人でも感情移入ができる相手が必ずいると思う。

 恋をする真白、その相手の油井、いとこ、父親、母親……誰の視点で、誰に感情移入をするかによって、この物語は意味合いを大きく変えていく。

 自分はまだ1回しか見ていないけれど、この映画は俗に言う『スルメ系映画』つまり繰り返し鑑賞することによって、色合いや思いが変わっていき感想が変わる映画だと思う

 

カエル「1回だけ見て『びっくり!』というような軽い映画ではないんだね」

主「爆発シーンも、銃撃戦もドラッグも悪党も出てこないよ? そんなわかりやすい派手なシーンは皆無。

 だけど、すごく心に残るように出来ていて、その作りもうまいなぁ、と感心した。

 富山の町と雪景色とかもすごく美してさ、その絵を観るだけでも楽しめるし……文句がないわけではないけれど、全体的によくできている。地味かもしれないけれど、脚本、演出、音楽、演技などのバランスが高いレベルで合っていて、満足感もすごく高いね」

 

 

以下ネタバレあり

 

 

 

2 本作の最大の特長

 

カエル「じゃあ、ここからはネタバレあり……と言っても、これは公式サイトでもすでに明かされていることだけど、ヒロインの真白は軽度の知的障害者なんだよ。

 これがこの作品の最大の特長かもしれない

主「知的障害というと、結構いろいろな想像をしてしまうかもしれないけれど、真白の場合は一般的な生活は十分に送れるくらいの軽度の障害であって、作中でも明らかにそういう人のような行動ってほとんどないんだよね。

 『思ったより普通の子だな』という印象を持つはず。確かにちょっと変わった部分はあるけれど、生活していたらもっと変な人なんていくらでもいるしね」

 

カエル「この映画を見て『知的障害の設定は必要なのか?』という人もいるかもしれない。それくらい、普通の娘なんだよ。しっかりと可愛らしいところもあるしね」

主「そして小さな町だから、町中の人たちが真白のことを知っている。もちろん親や親戚もみんなそうだけれど、真白に対して愛を持って接してはいるけれど、やはりそれは『知的障害を抱える真白』という視点は避けられない。

 だけど、東京から出てきた油井だけはその『知的障害者』という視点が外れている。だからこそ、彼だけはフラットな視点で真白を見ることができる」

 

カエル「知的障害というけれど、少し言葉がぶっきらぼうな子という風にしか見えないんだよ」

主「ここでは『日常の世界に暮らす真白』『非日常、特別な世界からやってきた油井』という対比ができている。

 そしてその2人が出会うことにより、どのような物語が始まるのか? という作品でもある」

 

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お父さん役の長谷川初範。厳しいけれど、いいお父さんです。

(C)sagan pictures

 

 

『普通』の物語

 

主「だけど、本作って実はそういった『知的障害』というフィルターがなくても成立する、普通のお話なんだよね

カエル「え? どういうこと?」

主「このお話から知的障害を抜くとどういうお話になるかというと『田舎に暮らす女の子と、都会からやってきた怪しい男が恋に落ちる』という物語で、この構造自体は町娘と王子の物語など、古典的なものである。

 素性の知れない男とくっつくことに反対する父親と、その恋を応援する親戚(いとこ)の女性……これだけでも物語は成立する。むしろ、そう考えるとどこでもある、日常的なお話だと思わない?」

 

カエル「娘の結婚に反対する父親のお話って確かによくあるものだからね」

主「この物語が『知的障害』という要素がないと成立しないのか? と問われると……実はそうでもない。福井で地に足をつけた自転車屋さんのお父さんの立場になってみれば『東京から来たカメラマン』なんて胡散臭い存在じゃない? 

 だから交際に反対するというのは、別におかしな話ではないんだよ

カエル「物語として面白いか? と問われるとちょっと弱い気もするけれど、まあ良くある話だよね」

 

主「だけど、その『普通を描くということ』が1番難しい。

 しかも、そこに障害を入れてくることによってこの『普通』の物語が、なんだかとても『異質』なものに見えてくるかもしれない。

 だけど、そんなことはないんだよ。

 この物語はあくまでも『普通』の物語なの。障害とか、そういうことも関係ない真白という純粋な女の子の恋愛を描くだけ。だからこそ……こちらの常識とか感覚を揺さぶってきて、大きなメッセージ性がある」

 

 

 

 

3 それぞれの立場

 

カエル「真白の恋に対するそれぞれの立場も、観客によって誰に感情移入するかどうか変わるだろうね

主「恋に恋する女子中高生とかなら、やっぱり主人公の真白に感情移入すると思う。恋愛としても非常に美しいし。

 それから娘を持つ父親ならば、お父さんの心情は痛いくらいにわかる。

 かつては真白のような『女の子』であり、今では『母親』になって両方の気持ちがわかって板ばさみなお母さんの気持ちになる人もいるだろうし、そして真白の恋を応援するいとこの雪菜の気持ちになる人もいるはず。

 もしかしたら、結婚して家を離れたお兄ちゃんや、そのお兄ちゃんの妻の気持ちになる人もいるかも。もちろん、油井に感情移入する人もいるはず。

 多分、この作品の誰にも感情移入できない、ということはあまりないはず。それだけ色々な人間を描いているし、それぞれの立場がわかりやすく描かれている」

 

カエル「何度も言うけれど『普通』の物語だからこそ、どの立ち位置に立つかわかりやすいんだね」

主「そうだね。

 じゃあ、この恋に反対する人はみんな意地悪なのかというとそうじゃない。むしろ、真白を純粋に思っているからこそ、そのような行動に出てしまう。

 そしてこの恋に賛成する人たち……まあ、主に雪菜だけど、彼女は純粋でいい人だから応援するのかというと……それもまた違うわけだ

 

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雪菜役の岩井堂聖子。美しく、印象に残る演技でした

(C)sagan pictures

 

 

雪菜の描き方

 

カエル「本作の中でも1番注目したのが、この雪菜の描き方なんだけれど……

主「いとこということもあって、真白の恋を1番応援しているんだけど……じゃあ、彼女はそれだけ善良な存在なのかというと、そういうわけじゃない。

 彼女もまた『普通の人』なんだよ。

 なんで彼女がそこまで必死に応援してくれるのかというと、自分の恋愛がうまくいっていないからだ。また別の恋の障害があり、そのせいでどうすればいいのかわからない状況下にある。

 だから、彼女は同じように父親の反対という恋の障害があり、そして障害を抱える真白に、自分の恋を託すように応援する」

 

カエル「最初とかは女子同士でよく見かける『え? あの先輩好きなの!? 告っちゃえよ、応援しているよ!』のノリに近いものがあったもんね」

主「真白のための行為でもあるけれど、それ以上に自分のために応援しているんだよね。

 彼女が決して善良なだけの存在ではないと象徴するのが『私、ハゲは嫌いなんだよね』という台詞でさ。これは美容師の雪菜の職業を考えるとわからないではないけれど、ハゲという身体的特徴で人を差別……とまではいかないけれど、でもハゲは嫌いとハッキリと言ってしまっている。

 ハゲだとちょっと笑える、軽いもののように思えるかもしれないけれど、身体的特徴という意味では知的障害者を差別、ないしは保護という名目で過保護にしてしまうのと、特別視してしまうのとそんなに変わらない

 

カエル「雪菜もリベラルな、差別反対論者ってわけじゃないんだね」

主「人間ってそういうものだと思うんだよね。

 ハゲはいいけれどデブはダメ、ハゲもデブもいいけれど異性でないと恋愛の対象にならない、外国人はちょっと、むしろ日本人より外国人の方が……とかさ。

 恋愛に限らず、友人、仕事のパートナーとして交際する相手というのは実はそういった偏見や思い込みがあるのは当然のことなんだよ

 

 

 

 

4 テーマの描き方

 

カエル「ここでいうテーマって当然障害に関することだよね?」

主「何回も語ったけれど、この映画は『普通』の映画なの。

 何がすごいというと、障害という世間の人たちがどうしても偏見を抱きがちなテーマに対して、それがあたかも普通のことのように描いたこと。

 そして雪菜の描き方でも語ったように、障害とハゲを同じような次元で語っていると思うんだよね。

 これは素晴らしい!

 本来、好き嫌いがあっていいんだよ。デブが好きという人もいれば、デブは嫌いという人もいる。食べ物と同じでセロリが好きな人もいれば、カレーライスが嫌いな人もいる。

 セロリが嫌いというは全く問題がないけれど、セロリを好きなのはおかしい、と言われるとそれは偏見で意味がわからないよね? この映画の知的障害の描き方は、確かに特別視しているようでもあるけれど、実は根底にあるのは『障害も個性の一環』だというメッセージなんだよ

 

カエル「このブログでは2016年度は『聲の形』を大絶賛したけれど、それと同じようなことなの?」

主「聴覚障害を患う女の子とのコミュニケーションを描いたアニメ映画の『聲の形』は、それなりに評価はされているけれど、これでもまだ過小評価だと思っているくらい素晴らしい作品で……聲の形は障害者ポルノから脱却し、健常者と障害者のコミュニケーションを描いた作品である。

 植野というちょっと嫌な子に見えるキャラクターが象徴するように『障害なんて関係なく、1人に女のとして嫌い』という姿を描き出し、そしてそこからさらにそんな自分からの脱却と成長を描いた、日本アニメ界、邦画界が生み出した大傑作の作品。

 ただ、聲の形は様々な『いじめ』とか『障害』『自殺』などといった要素をてんこ盛りにして、メッセージ性などが強すぎたかもしれない。素晴らしいまとめ方をした名作だけどね!」

 

カエル「一方の真白の恋は、もっとシンプルな作品だよね

主「そうだね。聲の形と表現したいことが似ているようで、また違うから一概には簡単に言えないけれど……多分、こちらの方がストレートに万人に受けると思う。万人受というと軽い作品のように思われがちだけど、そうじゃない。

 描いていることが『普通』だからこそ、普遍的な物語になるんだよ

カエル「真白の恋のラストもああなるということを考えると、やっぱり日常を扱った作品だということなのかな?」

主「日常は同じようで実はいつも違う。ちょっとした変化があるはずなんだよ。その日常も見事に切り撮った作品でもあるな」

 

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油井はカメラが中心の人間だからこそ、その視点などに独特の魅力を持つ真白に惹かれていったのかも
(C)sagan pictures

 

 

演出、音楽について

 

カエル「本作は演出も音楽も素晴らしいよね!

主「特に音楽はEDの曲を買おうと思ったくらい! 残念ながら配信はしていないようで、ちょっと探しただけだと手に入らなかったけれど……何度も聞きたいほどの名曲だったし、劇伴も美しいものだった。

 あとは演出というか、カメラワークなんだけれど……真白と油井が交流を深めていく描写なんかは、すごく画面がキラキラとして美しくてさ!

 それだけで2人がどのような気持ちで近づいていったのか、100の言葉よりも雄弁な説得力を持っている!

 

カエル「最近だとこの画面の力の説得力という話では『LION~25年目のただいま』とか『PとJK』とかでも語ったけれど、大事な部分だよね」

主「映画として表現する最大の長所はやはり『画と音の融合』だからさ、脚本がどんなに良くても、メッセージ性がどんなに強くてもそこがおざなりだとダメになってしまう。

 その意味ではまさしく本作は『映画』になっているし、映画である必要性もたくさんある。

 いい映画って画面が生きているなぁ……と思ったほどだね」

 

 

 

1+1=1

 

カエル「えっと……この方程式は何?」

主「この作品を見て強く思ったのが、こういった人間ドラマを描いた作品というのは『1+1=1』にならなければいけないのだろうな、ということなんだよ

カエル「えっと……この方程式自体は最近見た『灼熱の魂』という名画に出てくる言葉だよね?」

 

主「例えば聲の形は『将也(主人公)+硝子(ヒロイン)=1』になっていたし、他にもシンゴジラならば『映画のゴジラと東京+実際の天災と日本=1』になっていたんだよ。

 登場人物や物語が1つになることによってカタルシスが生まれて……じゃあ、その先に何があるのか? と言われると、それは『作品+観客=1』の瞬間が生まれる。作品と観客が同一化するんだよね。

 それが1番結実したのが『この世界の片隅に』であって、この作品は徹底的にリアルに描いたからこそ、作品と観客が同一になって、名作になった

 

カエル「真白の恋も、誰かに感情移入することで作品と観客が一体化するんだ……」

主「そうだね。

 アメリカでは最近『ムーンライト』が小規模公開、低予算映画で大ヒットしたけれど、本作も日本においてそうなってほしい作品だし、そうあるべき作品だと思う

 『この世界の片隅に』が単館系から60館くらいに公開が広がり、徐々に増えていって200館以上で公開されたけれど……この作品もそうなってほしいと思うほどだね。日本の『ムーンライト』になるポテンシャルも秘めているとすら思うよ」

 

 

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個人的な違和感

 

カエル「じゃあ、少しだけ注文をつけるとしようか」

主「まずは、もっと2人の写真を見せて欲しかったなぁ……

 レンズを通して美しい富山の景色などはしっかりと見ることができたし、それが説得力につながってはいたけれど、油井の写真と真白の写真をもっと出して、2人が見ている景色の違いとかをもっともっと出して欲しかった。

 もちろん、写真の上手い下手が出てくるから一概には言えないけれど、作中で『この写真いいですよね』とか『油井にはこうやって見えているんだ』と言いながら、観客にそれを見せないのは勿体ないなぁと思った」

 

カエル「そしてもう1つは……あの設定かな?」

主「真白は過去にもう1つ重要な設定があって、それがあるからみんな過保護でもあるんだけど、映画としてはあの設定はいらないと思う。そんなに生きてこなかったし、それが余計なノイズになってしまった。

 あのお父さんだし、境遇を考えれば過保護になるのはわかるから……あの設定は邪魔だったように感じたかな」

カエル「でも、作品全体の味を損ねるほどではないけれどね」 

 

 

 

最後に

 

カエル「じゃあ、最後になるけれど、よくよく考えると今年に入って絶賛する小規模公開映画って障害とか病気が出てくる作品が多いような気が……」

主「1月は自閉症と数学を扱った『この世界の方程式』があったし、3月だと聴覚障害を抱える少年も登場する『タレンタイム』もあったし……確かにその傾向があるかも。

 今の日本において差別とか貧困も重要だけど、もっと目を向けなければいけないのが障害なんだと思う。良いことだけどジェンダーフリーが進んできて、恋愛映画を作る上ではジェンダーの壁も障害にならなくなってきた。不倫ももう全然ショッキングでもなくて、普通の出来事になってしまったし」

 

カエル「その中でも障害はまだ多くの日本人の中にある、恋愛やコミュニケーションの壁だと考えているんだね」

主「障害者を出すと大手メディアが嫌がる状況もある中で、どのように描くのかというのは難しいところでもあって、それは日本の物語文化が……とりわけ、大手の映像作品を扱う会社がタブー視していることの影響もある。だからこそ、まだまだ名作を作る余地というのが多く残されているのではないかな?」

 

カエル「色々語ってきたけれど、是非とも鑑賞してほしい1作だね」

主「3月のライオンとか、いい映画もたくさんあるけれど……見てほしい映画もたくさんあるけれど、どれか1作と言われたら今月は迷わず真白の恋!

 多分、今年の邦画だったらこの作品を抜くことができるものが出てくるのか怪しいレベルの完成度です! 是非ご観賞を!」

 

 

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