物語る亀

ネタバレありの物語批評

映画『アズミハルコは行方不明』感想と考察、解説 『27歳』という年齢の意味とは何か?

亀爺(以下亀)

「小規模公開ながらも、注目を浴びているようじゃな、この映画は」

 

ブログ主(以下主)

「そうね……自分もこの映画を見たきっかけは、宇多丸のラジオに監督が送ったメールがきっかけだったんだけど。

『今までの邦画の流れを否定する』というのが、どのようなものなのか気になったから見てみたけれど……確かにこれは賛否を巻き起こすかもしれんね」

 

亀「そこまで違う作品になっておるかの?」

主「今年1年色々な映画を見てきたけれど、1番実験精神にあふれているのってアニメ映画だったりするんだよね。それがうまくハマったからこそ、2016年のアニメ大ブームが来たわけで。

 洋画もハリウッドだけではなくて、色々な国で実験的な作品が作られていてさ。ヨーロッパとか、やっぱり面白いなぁ……と、にわか知識で語ってきたわけだけど、邦画となるとその実験精神ってあまり目につかなかった気がする。もちろん、見た作品が偏っていたり、受け手の知識不足、感性の問題かもしれないけれどね」

 

亀「確かに、その実験の規模もあまり特徴的でなかったり、少しは実験していても大筋ではそこまで冒険していない作品も多いかもしれんの。もっと……小規模公開の映画を見に行けば、色々あるかもしれんが」

主「実写邦画でトンデモナイ! と思わされたのはドキュメンタリーの『FAKE』になるのかなぁ……? 葛城事件とかも見ていないから、そんな作品を見てからということになるかもしれないけれど。

 でも、結論から言うと考察大好きなこのブログ向きの作品だったと思うよ。人によって受け取り方も違うし。語りたいことも多いし」

 

亀「では、感想記事を始めるかの」

 

 

 

 

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 あらすじ

 

 地方都市(おそらく栃木県足利市)を舞台に繰り広げられる、2人の女の物語。

 27歳独身の会社員安曇春子(蒼井優)は、実家で暮らしながら時折同窓会にも顔を出す、ごく普通の女性。仲のいい男友達はいるが、彼氏という人物はいない。町を歩くと顔見知りも多く、小さな町の暮らしに息苦しさを感じていた。

 一方、成人式で中学時代の友人ユキオ(太賀)と再会した20歳の愛菜(高畑充希)は、寂しさから体の関係になってしまう……

 


蒼井優主演!高畑充希共演!映画『アズミ・ハルコは行方不明』予告編

 

 

1 ネタバレなしの感想

 

亀「では、まずはネタバレなしの感想から行くが……確かに、面白いかと問われると答えが難しい話じゃったの

主「エンタメではないよね。個人的には好きなタイプだけど、特別オススメはしないかなぁ……一見して分かりやすい話でもないし、賛否が分かれるのも納得だよ。

 ただ、その分考察する余地は大きいから、自分みたいな考察好きにはたまらない作品になる。よくも悪くも説明が少ないって印象かな?」

 

亀「ネタバレなしなので説明が難しいがの……

 普通の映画は数式で例えると……文章問題があって、式が出て、答えがあるという流れじゃと思う。つまり、前提条件の開示があって、それが展開されて、ラストに結論があるという形じゃな。

 だがこの作品は違う。答えまず出てくるから、なぜそうなるのか、一切わからずに話が展開されていくわけじゃな」

 

主「その意味では確かに『邦画の流れを否定している』ということになるわけだよ。だから説明しようと思っても、それが後々に出てくるから説明のしようがない。

 だけど、全てが回収された時に見えてくるもの、それが何か? というのは人によって変わるというのが面白い

亀「じゃから、この映画は『映画を見なければ意味がない映画』という風になっておる。ネタバレなどでお話の流れなどを追っても無意味じゃな。何せ、ストーリーラインを追うこと自体にそこまで意味はないからの」

 

主「意味がないというと語弊があるけれど、筋書きだけでは意味がわからないようにできている。それは演出も含めて『映画的な映画』に仕上げることができていると思うよ」

 

キャストについて

 

亀「今回は若手主体であったが、よかったの」

主「体当たり演技も目立ったよね。蒼井優、高畑充希の濡れ場もあるし……ふたりともかわいいというか、独特の魅力があったよ」

亀「リアルな演技をしておったからの。監督の演出などもあって、演技に関しては特に文句はないのではないかの?」

 

主「まあ、リアルはリアルなんだけれどね……ただ、これはキャスト云々とは少し違うけれどさ、気になる部分もあったな

亀「というと?」

主「単純にさ、ああいう人と接した経験がないから、よくわからんのよね。全部空想世界のお話に見えたというか。高畑充希のギャルとか、他の役者の……いわゆるDQN呼ばれるような男の子とかさ、親近感が全然なかったなぁ。

『ああ、こういう世界もあるのかね』と、それこそ画面をただ眺めているだけで。まあ、それは受け手の問題なんだけれど」

 

亀「地方都市の特殊性もあるかもしれんしの」

主「そこそこの都会で毎週映画を見て暮らしているようだと、あんな生活とは無縁だからね。地元の知り合いと会うことなんてないし、あんなギャルとも会うことは中々ないし……

 ここは観客の好みもあるから製作者側は操作することができないけれど『ケンとカズ』の時も語ったけれど、遠い世界の話のように思えたかな

亀「まあ、オタクとは縁遠い世界じゃの」

 

以下ネタバレあり

 

 

 

 

2 考察〜この作品がやりたかったことは?〜

 

亀「それでは考察パートと行くかの」

主「この映画は正解がない映画だと思うから、様々な回答があってもいいし、この記事で語ることに違和感があるかもしれないけれど……まあ、その時はその時、ということでね。

 ちなみに原作も読んでいないので、映画で見た印象だけの考察になります」

 

27歳という年齢

 

主「この作品では27歳という年齢が重要な意味を持ってくるわけだ。これは偶然の出来事かもしれないけれど……亀爺は27歳という年齢をどう思う?」

亀「そうじゃのう……一般的にはアラサーと呼ばれ始めて、人生に焦りが生じてくる頃かの。それまでのように若くもないし、結婚だったり、就職だったりと人生においてある種の『覚悟』を持つことが重要視される年頃かの」

 

主「まあ、そうだよね。

 『半分の月がのぼる空』という、橋本紡が書いて映画化もされた10年ぐらい前のライトノベルがあるけれど、その中で25歳について『すべてを一から始めるには遅すぎるが、全てを諦めるには早すぎる』とある。27歳も同じでさ、まだまだ転職も出来るし、人生がすべて決まる年頃ということでもない。

 だけど、結婚にしろ仕事にしろ、その後の人生について色々と決めなければいけない年頃じゃない? だから、春子も焦りを感じているわけだ」

 

亀「そうじゃの。結婚をしようにも彼氏はおらんし……セクハラ発言であるが『羊水が腐る』という問題発言もあったしの」

主「だけど、実は2016年における27歳って別の意味も持つんだよね

亀「……別の意味?」

 

主「そう。27歳の中でも、今年2016年度で28歳になる歳は『最後の昭和生まれ』の世代になるわけ。そして2016年度で27歳になる歳だと『最初の平成生まれ』の世代になる。

 公式サイトだと28歳とあるから、おそらく春子は27歳と28歳の『世代のターニングポイント』でもあるわけよ」

亀「……ついに平成生まれがアラサーになる時代になったわけじゃな」

 

年代論として

 

主「そう考えると、この春子というのはすごく難しい立ち位置にいるわけ。

 例えば母親のように父親の実家に暮らし、年老いて呆けた義理の母の世話をして嫁姑問題を繰り広げたり……あるいは、会社で旧社会然とした、差別やセクハラを受けながら生活をしているわけ。

 これは昭和の価値観だよね。この昭和の価値観も眺めながら『こんなんじゃ嫌だよなぁ……』という意識を持って生活をしているわけだ。

 先輩社員も話もあったけれど、彼女の幸せの掴み方は『フランス人と結婚』という、ある種の昭和的価値観による逆襲だったわけ。それが会社の人たちには効果抜群だったけれどね」

 

亀「古い価値観でセクハラ的ではあるが、それが田舎の空気感とともに伝わって来る映画じゃったの」

主「そうねぇ……

 だから春子もさ、幼馴染の男とセックスするわけだよ。体を重ねて、彼氏作って、いずれは結婚して……という、昭和の幸せを得ようとする。だけどそれは空回りして、失敗するわけだ。

 だけど、後述するJKギャングを見ても『どうにも一緒にはいけないなぁ』と年齢を理由に断る。

 この作品における春子の役割というのは『昭和の価値観と平成の価値観(新しい価値観)に翻弄されて、それを見守る人』という意味なわけ。選択できない人といってもいい」

 

 

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3 愛菜の役割

 

亀「その考えでいくと、愛菜の役割は『平成の女性像』というわけじゃな」

主「そうだね。だから如何にも……テンプレすぎるくらいのギャルで、成人式とかもいってさ、簡単に男と寝たりするわけ。色々と軽いわけだよ。それは平成の若者らしいといえば、らしい世界となっている。

 だけど、それで男との一緒にバカをやってもさ……結局はどうしようもないわけ。当の男自身が愛菜に真剣に向き合っていないし、愛菜を愛していないから。

 愛菜という名前が本名かもわからないよ?……『愛』というものに飢えているだけかもしれないし、ラインで名前を変えている人なんていくらでもいるし。現に『ラブナ』という名前に変更しているし。

 まあ、多分本名だと思うけれどさ」

 

亀「そう考えると『愛を求める女性』であり『愛を見つけられない女性』でもある、ということかもしれんの」

主「その意味でも平成的かもね。愛というものが重要視されるけれど、それがどのようにして見つけるべきか、ということは誰も教えてくれないわけだ。まあ、そんなものないわけだけど。

 それを探しているけれど、男が幸せにしてくれないという意味もある

 

キルロイについて

 

亀「このパートではキルロイという連中も重要な意味を持っているの」

主「行方不明の春子をモチーフにしたキルロイがネット上ではある程度の知名度を誇るわけだ。でっかいことをしているような気がしているけれど、実際のところはただの犯罪行為でもある。

 その犯罪が別の意味を持って評価されるわけだけど……それは春子が行方不明であり、犯罪だからこその注目度であり、評価であるわけだ。

『でっかいことがしてぇな!』って言って、でっかいことをしているつもりかもしれないけれど……犯罪行為であるという事実がなければ、彼らに対する注目なんてないわけだ

 

亀「結局、ラストは誰にも注目してもらえなかったわけじゃからの」

主「こういう事例はいくらでもあるよなぁ……Twitterなんてそういうことに溢れているし。正しいことをして注目を集めるってすごく難しい。

 そして愛菜とのからみでいうと、ここは単なる仲間であり、セフレではあっても恋人でもなんでもないわけだ。この軽い価値観に翻弄される女性像を描いている」

亀「地方都市特有の窮屈感もあるかもしれんの」

主「まあ、そうね。本当は作中に出てきたDVDを見ればまた印象が変わるかもしれないけれど、見ていないのでこの程度でキルロイについては語るのを終えようかな」

 

 

 

4 JKギャングと春子と愛菜

 

亀「そしてよくわからんのがJKギャングの存在じゃの」

主「そう? 個人的にはすごくわかりやすい存在だよ。

 つまり、旧世代の価値観を押し付けてきたり、新しい価値観の中で生まれた『哀しみを抱える女性』の象徴なわけ。だから男達に復讐を果たす。

 あのJK達は男に対する襲撃によって、過去の『女らしさ』という概念の破壊をしているわけ。そしてそれは年齢は関係ないんだよね」

 

亀「春子を誘った時も『わたしはJKじゃないし……』と断っておるの」

主「そうね。だけど、あの集団は別にJKかどうかは関係ないの。実際にJKの制服を着ているだけで、本当に女子高生なのかは誰にも判断できない。

 それをより決定的にするのはラスト付近でさ。映画館から出たJKの中におばちゃんもいるでしょ?

  あれは、男に対する……旧世代の価値観だったり、女らしさを押し付けてくる男達への復讐に年齢は関係ないって意味でしょうね

 

亀「だから春子を簡単に諦めたのかの。『年齢という価値観や考え方に縛られちゃダメだ』と」

主「彼女達は犯罪者集団でもあるわけだけど、そういった倫理観や価値観から解放された存在なわけ。あるのは『女性』という価値観だけ。

 最後の警官に指で作った銃で逃げ切れたのも『そういった法律論や倫理観、価値観には縛られない新しい女性像』という意味だと思うよ。個人的にはあそこで警官が銃を撃って全滅させても面白かったけれどね」

 

行方不明の意味は?

 

亀「しかし、この映画において春子は行方不明ではないのに、なぜ行方不明扱いされたのじゃ?」

主「いや、行方不明なんだよ。つまり『旧世代の価値観にも、現代の価値観にも馴染めない女性』という意味で、自分を見失っている。

 だから行方不明な訳。一般的な……身体的に居場所がわからないという意味ではなく、精神的に行方不明という意味。

 大事なのは『行方不明である理由』ではなく『行方不明である』という事実そのものだから」

 

 

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5 この作品のテーマとは?

 

亀「では、ここまでを踏まえたのこの作品のテーマとはなんじゃろうか?」

主「すごく単純に言えば『女性解放運動』の話だよ。旧世代の価値観からも、新時代の価値観からも開放するという話。

 だから男性に復讐するという方法もあれば、春子のようにいなくなるという選択肢もある。

 旧世代の価値観だったり、女はこうでなければならないという価値観を覆すような運動の話。だけど、単純にそれは『女性VS男性』という戦い方だけではないよ、という意味でもあるわけだ」

 

亀「『女性VS男性』の戦い方というのがJKギャングであり、そのやり方でも確かに戦うこともできるということかの」

主「そう。だけど、それだけじゃないよね?

 『行方不明』となることによって、既存の価値観から解放されること……そういう『男性VS女性』とはまた別の、既存の価値観を消してしまってもいいんじゃないの? という意味もあるラストだろうね。煙と共に、消え去ること。

 『消えて生きる』という言葉がそれを証明しているよね」

 

既存の価値観を破壊するということ

 

亀「なるほどの……ということは、この物語はもう一歩踏み込むと、ある種の『同性愛』であったり、または『女性だけの家族生活』ということにもつながるわけじゃの」

主「そうね。同性婚は言い過ぎかもしれないけれど、最後にルージュも交えた女3人生活も出てきたけれどさ、それは『家族には男が(夫が)存在しないといけない』という既存の価値観を超えた先にあるものだと思う。

 さらに言えば……そこを踏み越えると一般的に連想される『女としての幸せ』というものも破壊しているかもしれない

 

亀「つまり、愛しい人と結婚し、子供を授かり、育むという生き方じゃな」

主「そう。それが幸せだとするのも旧世代の価値観なわけ。行方不明になった春子には無関係なんだよね」

 

ラストシーンが示すもの

 

亀「となると、あのラストシーンは……」

主「簡単に言えば、まだ女性の価値観から解放されていない平成の女性が、旧世代の価値観から解放された女性と出会うまでを描いた作品ということだろうね」

亀「……それで幸せなのかの?」

主「さあ? そもそも『幸せである』ということすらも放棄することが、最大の復讐かもしれないしね。『幸せになる』ということも、ある意味で旧世代の価値観とも言えるから。

 行方不明になるということは、そういう意味も内包されているような気がする。全く新しい価値観って幸せの定義すらも変えていくものだから」

 

亀「……女性を取り巻く状況は大変じゃの」

主「現代は世知辛い世の中だからね」

 

 

 

 

6 考察を終えての不満点

 

亀「さて、これだけの考察もした上で、不満点があるのかの?」

主「まず、映画のテーマとか見せ方は結構面白くていいよ。だけど、不満点もそれなりに多いんだよね。

 まずさ、物語がまとまった瞬間のカタルシスがそこまで大きくないんだよね。

『あ、つながった』ってレベルで、なんとなく繋がって、なんとなく終わっちゃうという感じで。もっともう1伸び、2伸びすれば絶賛することもできたのに、ここが弱いから賛否が分かれちゃうんじゃないの?

 

亀「それはこういう脚本の方式を取っている以上、仕方ないかもしれんの」

主「それとさ、男性陣の描き方ね」

亀「そこはよく言われているの。

『男が情けない』とか『男がセクハラ的すぎる』とか」

 

主「う〜ん……個人的な不満点はそこじゃないんだよなぁ。

 女性の解放運動というのは確かに大事だけどさ、じゃあ男はどうすりゃいいんだよって話でさ。

 女性の解放運動の話はよくあるよ? 働く女性の応援歌って映画も『マイ・インターン』も含めて腐るほどある。だけど、この時代を生きる男性を描いた作品ってほとんどないよね」

 

亀「……まあ、そうかもしれんの。『SCOOP!』や『レスラー』なども旧世代の男が時代に取り残されて衰退していく、ある種の滅びの美学のような映画じゃからの。カッコイイ男像というのは……もしかしたら昭和の段階で止まっておるのかもしれん」

主「現代の価値観に翻弄されるのは女も男も関係ないんだよ。旧世代の男像に縛られているのは、男も同じなわけ。

 しかも、草食系とかオタク系とか言われてさ、結局求められているのは『金を稼げて、仕事もあって、学歴もあって……』という、旧世代から続く価値観の男たちじゃない?

 この映画の男たちだって苦しんでいるでしょ? 『ビックになりたい!』とか引きこもって苦しんでいるわけじゃない? 

 なのに、勝手に悪役にされて、勝手に復讐されて……男共はどうすりゃいいのよ? 女性だけ解放されて、はいお終い、ですか? って話」

 

亀「……おお、熱くなってきたの」

 

 

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『男性』と『女性』の描き方の難しさ

 

主「この映画はさ、女性が男性に暴力を振るったり、復讐するから許されている点もあるわけ。

 『かわいそうな女性たち、このか弱き被害者に同情を!』みたいなものですよ。

 逆に男性陣が女性に復讐ということで、一般の女性を男性が何人もバット持って暴行するような映画だとしたら、非難轟々どころか、下手をすれば社会問題になるわけだ

亀「まあ、一般に女性は『弱者』とされているわけだからの」

 

主「じゃあさ、男性はいつ、どのように解放されるべきなのよ? 結局『女性頑張れ』『女性の解放』ということをやるのはいいけれど、一方の男性は滅びゆくしかないのか? ということかと。

 しかもさ、今度は『情けない』と罵倒されるような描き方をされて、しかも復讐すらされるというね……

 なんかさ……悲しくなってくるよね

 女性の既存の価値観からの脱却を描いている映画が、ダメな男性の描き方が既存の価値観に縛られているというのがね……

 本当はこの手の『女性解放運動』って『男性と女性の対立』からの解放でもあると思うけれど、結局男性を悪役にしないと描けないのか……なんか戦前の『祇園の姉妹』とか、20年前の『少女革命ウテナ』とかエヴァの延長線上でしか語れないのかね? という疑問はあるよ。

 今度『男性解放運動』の長編でも書こうかな……」

 

亀「……新作のアイディアが湧いてきたの。それは良かったの」

 

その他の不満点

 

亀「では、最後に他の不満点についてあげていくかの」

主「まずはカメラが動かしすぎて酔ってきたね。結構激しく動くからさ、臨場感は出るかもしれないけれど……」

亀「カメラ酔いしやすい人にはきついものじゃな」

 

主「演出としてはわかるけれどね。

 それから最初に述べたけれど、やっぱりキャラクター性が個人的にはよくわからなかった。

 『何者』とか、小説でいうと『コンビニ人間』を読んだ時と一緒で、わかりそうで全然わかんない人間ばっかり出てくるなぁ……という印象。

 まあ、これは受け手の感性の問題だからいいけれど。

 やっぱり言い争いのシーンとかは『DQNとDQNの喧嘩だな』とか『ダメ男とメンヘラの喧嘩だな』という印象になってしまったかな。個人的には切実な問題という感じはなかった」

 

亀「それも受けての問題じゃの。

 簡単に言えばいまいち乗り切れなかった、ということじゃな」

 

 

 

最後に

 

亀「少しハードルを上げすぎたかもしれんの」

主「そうね。邦画限定であれば確かに斬新と言えるけれど、今年の洋画でも『マジカル・ガール』や『シークレット・オブ・モンスター』も先進的だなぁって印象があったからね。

 それらの映画と同じような基準で見たから、少し違和感はあったかも。でも、これだけ語る隙がある映画もそうそうないけれどね」

 

亀「説明の少ない映画じゃからの、受け手側が試される、如何にも映画らしい映画といえるかもしれんの

主「そうだよねぇ……何回タイトルを間違えそうになったか。

『天海春香は行方不明』だったら、アイマスのネタとして面白そう……というプチマスにありそうだなぁ……なんて思ったり」

亀「……主は男性解放運動の話よりも、オタク解放運動の方が重要なのではないかの?」

 

アズミ・ハルコは行方不明 (幻冬舎文庫)

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