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ネタバレありの物語批評

機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096 3話までの(UC Eepisode 1) 感想と簡単な解説

 間違いなく今期1動くアニメ、ガンダム UCの3話までが終わったのでそのレビュー感想を書いていく。

 まあ、この作品と勝負するっていうのが本来おかしな話なのは重々承知しているが。何年もかけてお金もかけたアニメと、1クールテレビアニメでは初めから勝負にならないのでUCは別枠だけど。

 ちなみに私はテレビシリーズのガンダムは XとZZが好き。なのでZZの設定が非常に強く生きてくるUCは非常に好感が持てる。(割と評判悪いけれど、OPが変わったあたり、プルが登場するあたりから面白くなるよ)

 

 1 とりあえず説明

 この3話はこれから始まるUCの物語の前哨戦にあたるものである。そのため、学校での歴史の授業など説明的な要素が非常に多い。

 それが一番現れるのが船長と学園長の対話の場面だろうか。

 だがそれを見ればこの作品を理解できるかというと微妙なので、少しだけ解説を加えていくことにする。

 

 そもそも今回の戦闘の原因は『ラプラスの箱』と呼ばれるものの存在である。

 だが、肝心の『ラプラスの箱』が何なのかは一部の登場人物を除いてわかっていない。それを知っているのは1話冒頭で出てきた髭もじゃおじいちゃんと、このおじさんと連邦政府のお偉いさんくらいなものである。

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 ではなぜそんなわけわからないものを奪い合っているのかというと、それが政治的交渉の場において非常に役に立つものだからである。

 

 「え? 訳わからないものなのに政治的交渉の役に立つの?」と思われる方もいるかもしれないが、これを現実に置き換えて考えてみよう。

 例えば日本において『核兵器製造の情報』があったとしよう。そんなものを公表されたら日本政府の信頼性は地に落ちてしまう。それを公表されないように日本政府は必死に交渉するだろう。

 

 そしてその『情報』で強請る側は別にその内容がなんだって構わないのである。例えば核兵器そのものであっても、核兵器製造の情報であっても、何ならば首相の不倫の情報でもいい。大事なのはその情報そのものではなく、『交渉材料として強力なもの』という確かに存在しているという証拠である。

 むしろ相手を脅すには存在が不確定の方がいいこともあるということだ。(首相の不倫なんて表に出たらせいぜい辞職で終わるが、それを隠して強請れば非常に大きな利権を明け渡してくれるだろう)

 

 話をUCに戻すと連邦側(地球側)はその公表を避けるために何でもしてきて、その『ラプラスの箱』を利用して連邦を強請り、地位と名誉と金を稼いできたのが『ビスト財団』である。財団からすると『ラプラスの箱』を渡すことは自分たちの利権を脅かすので嫌だ。

 ネオジオンの側はそれを受け取れば連邦と交渉ができるのでどうしても欲しいという三者三様の思惑がある上に、しかもどこも一枚岩ではないので非常にややこしい。

 

 なので大雑把にまとめるとこうなる。

 

 連邦(地球) ラプラスの箱を取り返したい(破棄したい)

 ビスト財団(理事長) 未来のために使いたい

 ビスト財団(他の人たち)利権を守りたい

 ネオジオン(オードリー)交渉に使って平和的外交を

 ネオジオン(強硬派)これを使って共栄圏を作る

 

 というところになる。

 ここの利権や思惑がこんがらがるので分かりづらいが、理解すると非常に面白いものになる。

 

 そして肝心の主人公のバナージはどこに属すのかというと、それを探すのがこの作品の主題でもあるのだ。

 何が正しいのか、何が間違っているのか、どんな未来が理想で、どんな未来が嫌なのか。それを探していくのバナージの役割である。

 だからこの作品はガンダムの中でも少し異質で、明らかな味方サイドというのがないというのが特長になっていく。

 

 

 

2 非常に丁寧な演出

 この作品の見どころの1つが非常に丁寧な演出だ。

 

 例えば1話の冒頭、UCでも屈指の戦いと言われるクシャトリヤVSスタージェガンの戦いを見てみよう。

 ここで細かいのが、近接戦闘に入ったシーンを見て欲しい。

 一瞬だけスタージェガンが回りながら、太陽を背にしてクシャトリヤに突っ込んでいくことがわかるだろう。つまり眩しさで目くらましをしながら敵に突入するという手の込みようである。

 

 他にも2話の戦闘シーンでビーム兵器を打とうとしたシーンにおいて、一瞬だけ止めようとしている機体がいることも細かい。人が住むコロニーが近いので流れ弾で傷がつく可能性もあるからだ。

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 その中で私が注目したのはこのシーン。

 オードリーの何気ないシーンである。

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 さて、この時計を見ている場面がなぜ細かいというのかというと、ここだけで性格がはっきりと現れる。

 例えばあなたが腕時計を見るときにどうやってみるか考えて欲しい。多くの人は手の甲の側を自分に向けるように腕時計を巻くだろう。いわゆる男巻である。それに対して手のひら側に向けるのが女巻となっている。ここまで多くの作品で性格付けのために使われている。

 

 しかしこのオードリーは袖の長い服を着ているため腕時計が隠れてしまっている。その袖をどのように捲るかということが問題になる。袖を引っ張って腕時計を露出させることもあれば、腕を上げてまくるというのも1つの手だろう。

 それを指で袖を捲ることでオードリーの良家育ちを見事に表している。

 

 もう一つがやはりこのシーン。

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 このように口元を拭くことによって良家の娘であるということを演出している。

 他にもマリーダの2話におけるモゾモゾとした動きや、細かな手の動きなどセリフなどに頼らずに説明をしている描写が非常に多いので見逃しがちだが、細かな部分が積み重なることによって作品の質が上がっていく。

 

 

3 個人的に好きな場面

 3話までとなると基本的に説明と戦闘がメインなのであまり語ることもないのだが(戦闘シーンってすごいとか、動くとかがメインになるので言葉にしにくい)やっぱりUCは血の運命(副音声であった父と子もそうだけど、アルベルトも全て終わった後に見返すと思い入れがあるキャラクター)とバナージとオードリーのボーイミーツガール物語だよなぁ。

 個人的にはガンダムのヒロインではXのティファとオードリーが双璧なのだが、ティファが騎士であるガロードに守られるお姫様なのに対して、オードリーは「バナージなら絶対に守ってくれる」という絶対の信頼感を与えながらも、その尻を叩きながらそれぞれの道を行くヒロインである。

 その2人の出会いと少しばかりの平和な時というのは見ていてホッとする一コマでもある。

 

 あとはやはりバナージの親子の会話だろう。

「あんなの、人の死に方じゃありませんよ!」というバナージはやはりガンダムの主人公だよなぁなんて思ったり。あの親子の会話からUC起動までの一連の流れはこの3話で1番の盛り上がるポイントだった。

 

 これだけの作品が公開後で編集しているとはいえ、毎週見られるのだからいい世の中だ。

 また来週以降も楽しみにしていきたい。

 

  音楽も非常にいいが、できればエピソードの切れ目ではそのエピソードのテーマソングを流して欲しかったな。大人の事情でできないかもしれないが。

機動戦士ガンダムUC COMPLETE BEST

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