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物語る亀

ネタバレありの物語批評

映画『バケモノの子』感想と評論 細田守の最新作がテレビ初登場!

カエルくん(以下カエル)

「今日の金曜ロードショーは細田守監督の『バケモノの子』が地上波初登場だって!!」

ブログ主(以下主)

「……ああ、そうだな」

 

カエル「やっぱり、今週は夏らしく細田守特集にするべきだったんだよ! 坂口安吾とか、誰が読むのさ!」

主「……」

カエル「代表的な細田作品って『時をかける少女』以降は4作品だから、月曜日から書けばちょうど金曜日の放送には間に合ったのに!!

主「……」

カエル「『夏』の『細田守』の『テレビ放映』で『地上波初』なんだからさ、もう少し意識すれば検索トップは無理だとしても、PVを稼ぐチャンスにも……

 

主「あー、うるさいうるさい!! 個人ブログなんだから好きに書かせろや!!

カエル「なんだよ! 僕たちの夢のアニメ化が果てせなくてもいいの!?」

主「僕たちってなんだよ、僕たちって! お前と亀爺の……(以下見苦しいため略)」

 

 

 1 細田守監督について

カエル「……ゼェ、そ、それで本題に入るけれど、細田守監督といえば今や宮崎駿のイスに収まった感もある、大人気アニメ監督だよね。今だったら人気No,1と言ってもいいんじゃない?

主「……はぁ……そ、そうだな。オタク層やアニメに興味がある人だけではなくて、一般の観客や子供達にも人気だからな。テレビで特集されるアニメ監督が、今何人いるかって話だよ」

カエル「もともと経歴もすごいからね」

主「スタジオジブリを受けたけれど、宮崎駿直々に手紙が送られてきて、『君は才能があるから、ジブリに入れると却って才能をを削ぐかもしれない』なんて書いて断られたとかな。こういうエピソードはアニメを見ない人にもわかりやすい。

 『ジブリ』という会社ではなく監督に人気が集まるあたり、日本の映画はまだまだ監督にファンがつく時代なんだな。

 個人的には橋本カツヨ名義の『少女革命ウテナ』とかの絵コンテだったり、『サムライチャンプルー』のOPの方が馴染みがあるけれどね。特にウテナの33話なんてのは、伝説だから」

 

カエル「昔から才能ある演出家だったもんね。『るろうに剣心 追憶編』の4幕Bパートをノンクレジットだけど絵コンテを書いていたっていうのが本当なら、トンデモナイ才能だよ。あれはアニメ界に輝くひとつの完成系って言っていい作品だし」

主「演出能力だったり、絵の素晴らしさに関してはあまり文句がないと思う。それは過去の実績含めて、やっぱり飛び抜けている」

 

細田守作品の特徴

カエル「演出能力は『は』ってことは、他に難があるの?」

主「……なんというかさ、細田守もまた語りにくい監督なんだよ。世間評価が高いけれど、個人的には過去の細田監督が演出や絵コンテで関わった作品も好きで……もちろん注目してみていたわけでもないけれど、後々振り返ってみれば特別好きな話が実は細田監督が仕事をしていた回だった、なんてことはザラにある。

 そういう人間からすると、ここまでの評価は当然のものと思いながらも、若干物足りなく感じる部分もあるんだよね」

 

カエル「へぇ、どこらへんが?」

主「やっぱり演出出身だけあって、絵の美しさだったり、魅せ方、構図、後は有名な影無し技法とか、そういう『動き』の部分に関してはすごく感心する。アニメは絵だっていうのは個人的にも納得する話だから、それで正解だと思う。

 でもさ、やっぱり脚本で色々と語りたいタイプの人間からすると、違和感は大きいよね。その絵に対して脚本が大味だから

カエル「脚本が大味っていうと、粗が多いとか?」

 

主「基本的に魅せたいテーマに沿った脚本は書いているよ。『時をかける少女』でいえば、あれは原作もSFだけど、表現したかったのは青春ドラマなわけだ。だから青春ドラマとしては最高なのは認めるけれど、その代りにSFとしては突っ込んだらキリがなさすぎる。

 わかりやすいところだとタイムリープで残り回数が0になって、他の人がタイムリープしたから元に戻るとかさ、それじゃ2人いれば無限に使えるんじゃない? とか。

 そういう細かい部分の粗はどの作品にも共通しているから、語りにくい部分もある

 

 

2 バケモノの子の感想

カエル「それはバケモノの子でも同じなの?」

主「同じというか、より悪化しているよ。もうさ、結論から言うと個人的に……あくまでも個人的にだけど過去最悪の脚本崩壊をしていると思う。テーマすらわからなくなってきた。

 それでも絵がいいから誤魔化しが効いているけれど、それでもカバーしきれていない」

 

カエル「……これは中々辛辣だ」

主「ただ、誤解がないように言っておくけれども、普段アニメに興味がない人が鑑賞する上において、アニメにおいて脚本の整合性ってのはそこまで問われないんだよ、実は。

 宮崎駿は脚本構成とか整合性に関しては結構破茶滅茶なんだけど、多分そこを気にしている人は少ないと思う。千と千尋の神隠しは脚本構成は失敗していると思うけれど、名作であることは変わらない。それは自分もそう思う。

 その意味でも宮崎駿の後継者なのかもね」

 

blog.monogatarukame.net

 

脚本構成について

カエル「でもさ、そこまで悪かったように思えないんだよね。特にスタートとかはワクワクしたし」

主「そうなんだよ、スタートから途中までは悪くない。あの世界に迷い込んで、熊徹に会って修行するっところは良いんだよ。オマージュもあるし。問題は九太が大人になった後でさ、そこからはどうしようもないんだよ」

カエル「やっぱり渋谷に帰っちゃったことがねぇ」

 

主「まず、千と千尋もそうだけど異世界に迷い込んだ作品というのは、帰ることが最大の目的になるんだよ。不思議の国のアリスもそうか。異世界に迷い込むって意味は何なんだ? ってことだよね。

 そこで帰れるなら初めから帰ればいいし、大人になってから帰れるなら、もうあの世界にいる意味ってものがなくなるわけだよ。熊徹に入れ込んだっていうならば、もうこの時点で主人公から『目的』がなくなってしまう。大きな目的がないからこそ、後半の迷走につながったと思う

 

カエル「そこから先は賛否両論の雨あられだよね」

主「もうさ、見ていられなかった。厳粛な試合がプロレスだったりさ……いや、プロレスは大好きだよ? だけど、プロレスでも審判が起きていればカウントを続けるもんだよ。明らかに10カウント以上ダウンしているのに、立ち上がって大逆転なんてとてもじゃないけれど、この作品は個人的に擁護のしようがない

 

キャラクターについて

カエル「キャラクターについては? 結構アニメでは大事な要素じゃない」

主「九太と熊徹は良かったよ。でも楓はいらなかったね。突然入る恋愛描写ってのは、大型映画では入れなければいけないもので、あの熊徹じゃ恋愛描写は描けそうにないから(描いてもコメディになる)楓を用意したってのはわかるけれどさ……

 広瀬すずはまあまあ上手かったけれど、それ以前の問題。キャラクターとして必要ない

 

カエル「そうねぇ……そこは難しいよねぇ」

主「なんだろう、細田守て女性が書けないのかな? と思ったよ。過去作を見るとそんなわけはないと思うけれど」

カエル「なんでそうなっちゃったんだろうね?」

 

主「単純にもう『細田守』の名前が大きくなりすぎたんだろうね。多分、細田監督っていい人なんだよ。誰も損をしないように頑張ろうっていうタイプで、色々な人の意見を聞いて、要素を取り入れちゃうタイプ。だから芸能人声優も使うし、恋愛もいれるし、アニメらしくバケモノも取り入れた。

 だけど、だからこそ無理が生じちゃったんだろうね。大きくなればなるほど、口出す人は多いだろうし。憶測だけど『時をかける少女』の時は殆ど口を出されなかったんじゃないかな?」

 

カエル「でも大きい看板を背負った人といえば宮崎駿がいるじゃん」

主「宮崎駿だったり、高畑勲が人の話をウンウンと聞くと思う? あとは鈴木敏夫の功績も大きいだろうね。そういった……このブログもそうだけど『雑音』を入れずに、宮崎駿の作家性を大事にしていたからこそ、成立したのが宮崎駿作品じゃないかな。

 その意味では細田守の作家性を守る盾になる人って誰かいるのかな?」

カエル「表立っては聞かないよね」

 

 

blog.monogatarukame.net

 

声優について

カエル「今回も豪華芸能人声優だったね」

主「別に芸能人声優が悪いとは思ってないから、それはいいんだけどね。たださ、やめて欲しいのは本職の声優、しかもビックネームと絡ませないでほしんだよ

カエル「声の作り方とか、全然違うから?」

主「そう。宮野真守とか山口勝平が演技をすると、逆に浮くんだよ。しかも、今作は自然な演技を求められているわけじゃなくて、バケモノを演じるアニメ作品という、如何にもアニメらしい作品だからアニメっぽい演技をする。そうなると浮くんだよね、本職の声優陣が」

 

カエル「『時をかける少女』では殆ど芸能人声優だけど、名作とされているし」

主「そう。『サマーウォーズ』はあまり気にならなかったかな……『おおかみこどもの雨と雪』は林原めぐみが急に入ってきて、違和感があった。

 なんて言うかさ……下手というほどではないんだけど、オペラ歌手とロックバンドの歌手を同じ舞台に立たせないじゃない? 当たり前だけど、どっちかが浮くよ。同じ歌でも表現する方法などが全然違うんだから」

 

演出について

カエル「でも、やっぱり演出は抜群にいいよね」

主「そうね。同じ場面をカメラの移動だけで二人の変化を見せたり、見せられないシーンは音だけで表現したり……スタートのあの世界に入り込むシーンのめり込んだし。渋谷の街も綺麗だったし、演出や絵についてはどうだろう、満点に近いんじゃない?」

カエル「だから賛否が分かれていると」

 

 

最後に

カエル「細田守は今後宮崎駿みたいになるのかな?」

主「……どうだろうね。あそこまでの大成功は難しいかもしれないけれど……というかあのレベルの成功を収める人が実写含めて今後現れるかわからないけれど、ある程度の知名度も獲得したし、この作品も不幸になった人はいないと思う。興行収入も良かったから次回作を撮れるだろうし。

 でも個人的には細田守一強時代にはなってほしくない

カエル「というと?」

 

主「今の時代はさ、負けていない監督もいるわけじゃん。原恵一監督とか、新海誠監督とかさ。湯浅政明、長井龍雪、吉浦康裕とか。水島努は映画は作らないのかな? そういった監督もいる中で、細田守がダントツのNo,1ということはできないと思う。今年で言えば京アニが聲の形をアニメ化するし」

カエル「でも湯浅政明監督とかは、一般受けしないでしょ」

主「そうかもしれないけれど、じゃあ原恵一監督が何で売れないのよ? カラフルとかは一般受けしそうだけどね。『心が叫びたがってるんだ。』はオタク向けすぎたか? でも『時をかける少女』も十分オタク向けな部分もあるしな……」

 

カエル「細田監督の次回作も注目なのは変わらないよね」

主「そうね。やっぱり絵の作り方は上手い監督だと思うし、知名度も今では一番高いんじゃない? 楽しみなことには変わりないかな」

 

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