物語る亀

ネタバレありの物語批評

プリンセス・プリンシパル 12話感想 過酷な運命に抗う少女たちの雄姿に心うたれる

カエルくん(以下カエル)

「えー、今期唯一のテレビアニメ感想記事になりそうだね

 

ブログ主(以下主)

「さすがにアニメの数が多すぎて観るのが大変だからなぁ。

 来期以降はオリジナルアニメを中心に観ていこうとは思っているけれど

 

カエル「オリジナルだけならばある程度数は絞られるとはいえ、それでも10は行くのかな? まだ秋アニメって何があるのかチェックしていないけれど、多分たくさん放送されるだろうしね」

主「実は本作も途中から見始めた……というと誤解が生じるか。6話放送した時くらいに、話題になっていることを知って1話を見て、確かにこれは話題になるだけの作品だ! と熱中したけれど……下手すれば1話も見ないで終わっていた可能性も高かったわぁ」

カエル「これだけ多いと見逃してしまった名作ってのもたくさんあるんだろうね。話題になる作品は後々知る機会が多いからいいけれど、それこそ昨年の夏に放映していて賞賛した『91Days』とか、今語っている人はほとんどいないだろうし……」

 

主「映画や小説などもそうだけれど、物語との出会いも一期一会みたいなところがあるんだよ。どんな人でも、おそらく9割の作品はたった1回しか観ない。何度も繰り返して鑑賞する作品に出会えただけで、実はすごく幸福で幸運なことなんだ。

 自分の人生を変えるような出会いや、一生心に残るような作品なんて探しても見つからないことの方が多い。特に、これだけ毎期アニメが放送されているような状況だし、日々更新されてしまうから。

 勿体ないなぁ、と思う一方で、だからこそ美しいこともあるんだろうね」

カエル「……なんかそれっぽいことを言って始まったね」

主「というわけで、今期1オススメしていた作品の全12話の感想記事を開始します!」

 

 

 

 

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独特な構成

 

カエル「まずは何と言っても独特な構成があったよね。1話なんだけれど、1話じゃないとかさ」

主「いきなり1話がCase 13からスタートという意欲作であり、今思うと全く意味がわからなかったけれど、でも逆に1話でさらにオリジナルアニメだからこそできる構成だったな。

 1話って誰もがキャラクターとか、どういう物語なのかわかっていないじゃない? そこで時系列通りに2話のCase1から始めてしまうと、逆にこの作品のビターな味わいが通じなくなってしまう。それに、魅力的なキャラクターも多いのに、その子達が中盤まで出てこないし、説明しなくなってしまう。

 だからこそ、ここで中盤どころか折り返しに位置する13話をいきなりぶっ込んできたというのは英断だったよ

カエル「なかなか硬派な話だったもんね。これは誰もが語るけれど、テイストとしては『カウボーイビバップ』に近いものがあって……」

 

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主「もう20年前の作品だからちょっとだけ説明すると、アニメ史に残る大傑作なんだけれど、この作品も放送時は夕方には似合わない硬派な内容ということで、全26話だけれど1クールに縮小された上に、過激な銃撃戦がある話はボツになって、比較的ノホホンとしていた話を中心に放映されていた。

 当時は放送するはずだった4月だったかな? になっても、まだ放送局が決まらないという状況だったらしい。

 で、テレビシリーズ最終回に伝説であり、幻の最終回を放送して未だに語り継がれている。その後完全版を放送して人気に火がついて、劇場版やアメリカで実写ドラマ版の政策も決まっているという作品。

 実は、1話の作りがちょっと似ているんだよね」

 

カエル「カウボーイビバップの1話ってハードボイルドで、いつかはこのブログでも言及したい完璧な1話の1つであるんだけれど……」

主「賞金稼ぎだった設定をスパイにして、SFをスチームバンク、登場人物をみんな女性にしたら、かなり近いものになるよ。もちろん、パクリなどという話ではなくて、現代分にアレンジしているということで賞賛するべきことだよ。

 それから1話でいうと、やっぱり冒頭は『攻殻機動隊』オマージュも入っているでしょう。どちらも政府による機密情報機関の物語だしね」

 

 

 

 

過酷な過去を持つ少女たち

 

カエル「過去の話も相当重いものが多かったよねぇ」

主「この作品の味は、この過酷な過去を持つ少女たちがスパイ活動に励むということがあるだろう。このあたりは『GUNSLINGER GIRL』などの先例もあるわけだ。

 こちらも年頃の少女であれば暗殺において最も警戒されづらく、成功例も高いということで創設されたという設定がある。それは本作も同じだよね。やはり年頃の可愛らしい女の子がスパイだなんて誰にもわからないし、なぜ情報が漏れているのか精査してもわからないはず。その可能性を考えもしないからね」

 

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カエル「もうアニメ1期を考えたら、15年近く前の作品になる、本作よりもビターな味わいの作品だね」

主「プリンセス・プリンシパルってスパイものであるけれど、むしろそっちよりは味わいとしては『運命からの脱出』を描いた作品としてみたほうが味わい深いと思う。人間にはどうしようもないこと、つまり病気とか事故、貧困、生まれ持ってきてしまった使命などがあって、そこから如何に逃れるのか? ということが描かれている。

 例えば1話が素晴らしいのは、見事な対比になっていること。

 エリックは亡命を失敗して始末されてしまうけれだけれど、これは彼女たちも1つ間違えば同じような目にあってしまうという危険性を描いているのと同時に、彼女たちの人生をも表している

 

カエル「……人生を?」

主「プリンセスが最もわかりやすいじゃない?

 彼女は何か1つ間違えてしまうと自分の命はおろか、国をも左右してしまう事態になってしまう。それをどうにか回避しながらも、自分がそんな世界を変えるためにスパイ活動に従事している。

 そしてそれはドロシーやちせも顕著で……彼女たちが背負ってしまった運命、つまり家族との対立は非常に過酷なものであった。その意味が最終話にもつながってくると思うんだよね」

 

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守っているようで守られている関係

©Princess Principal Project

 

最終話を観て

 

カエル「最終話を見て感心したのは、それまでの行動が全て伏線として機能しているところだよね。あの鍵を盗むところとか、隠し通路とか、それまで描いてきたちょっとしたことが、当たり前のように発揮されていく。

 スパイとして強力な敵が現れた時に5人が協力すれば乗り越えられるとは、原作のルパン三世みたいだし……

 一瞬で着替えが終わっているのは目が丸くなったけれど、カツラを外しただけなのかな?」

 

主「まあ、そこは細かいところとして気にしないとして……

 ここで革命騒動が出てくるわけだけれど、これに対してプリンセスは否定的な立場である。国を奪う1番のチャンスであるにも関わらず、それを否定するわけだよね。これって不思議な話でもあるんだけれど、実は前に語ったことが関係しているんじゃないかな?」

カエル「過酷な過去がうんたらってやつ?」

主「あの軍人たちが少しでもいい世の中にするために革命を首謀していたのは確かだと思う。そのやり方はともかくとして、志自体は正義はある。だけれど、それはプリンセスの望むことではなかった。彼女は暴力による革命を体験しており、諜報などではなくて直接的な暴力によって、政権を握るということに否定的なんだよね。

 それは過酷な運命を背負っていても、何をしてもいいというわけではない。むしろ、苦しい思いをしているからこそ、その手段を選ばなければいけないということなんだろう」

 

カエル「プリンセスって他のアニメではありがちな、理想論を追いかけて頭がお花畑の人ってわけではないもんね。むしろ、事情があって誰よりも過酷な世間について熟知しているわけで……」

主「その意味ではこの最終話は1話と対になっているような気がする。

 1話がアンジェの運命と試練の対比としてエリックがいた。エリックだって妹を守りたかったのは本心だし、そのために尽力したけれど最後はああなってしまった。これはプリンセスを守りたかったアンジェの、別の運命の姿ということもできる。

 で、12話はその逆なんだよ。

 つまりプリンセスの対比として存在するのがイングウェイだったわけだ。何でもあり、暴力も用いるよというやり方では同じような末路を辿ることになるかもしれない、ということだよね」

 

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1番好きなキャラクターはドロシーかなぁ……あと、7も好きです

©Princess Principal Project

 

語られなかった12話

 

カエル「でもさ、やっぱり気になるのは語られなかったお話だけれど、これはどうするんだろうね?」

主「売り上げ次第って明確なメッセージでしょう。あの長い宣伝だけれど、あれもやりたいことは多いけれど、それをできるかどうかは皆さん次第ですよ〜ってメッセージも含んでいる。

 当然それを制作したいことはあるけれど、オリジナルアニメでどこまで話題になるかもわからないし、最初から2期や2クールで制作するには博打要素が大きすぎるというのが、今のアニメ業界の現状だよね。

 これが原作付きや、ある程度実績のあるオリジナル作品なら話は変わるだろうけれど……ライブがあるタイプの作品でもなく、声優陣もほぼ新人みたいな人を集めたら、ちょっと冒険はできないよねぇ」

 

カエル「今回は構成が上手くいったという評価だけれど、もしかしたら大批判を食らっていた可能性もあるんもんね……『あんなやり方で売れるとは思っていなかったでしょう!?』と、悪い意味で伝説的な作品になる可能性だってあるわけだし……」

主「挑戦的な方法だからなぁ。余計にこれ以上の冒険はできないし、話題になっているとはいえまだ発売前だから、今から決定というわけにもいかないだろうし。もちろん、裏では色々と動いているのかもしれないけれどね。

 でも、この語られなかった12話分は色々と想像できて楽しみだよね」

カエル「これが却って2期では縛りになってしまうかもしれないよ? しかも、もう最終話は放送しているし……」

 

主「いやいや、実は26まであって、そのうちの24話かもしれない。次は12話やって計24話、残りの2話はOVAや劇場で……という可能性だって十分にある。

 色々とライバルの設定も出てきたし、敵対機関も出てきた。2期はその人たちと敵対する話を描きつつ、ラストで対決、という展開になっても面白いよね」

カエル「色々と想像は膨らむね」

 

 

 

最後に

 

カエル「というわけで、プリンセス・プリンシパルの感想だったけれど、また改めて、今度は時系列通りに一気見するのもいいかもね」

主「総集編アニメ映画もそうだけれど、一気見すると伏線や演出のうまさなどに気がついたりして面白いんだよ。理解度が圧倒的に増すというかさ。テレビシリーズだと長すぎるから難しいかもしれないけれど、暇があったら是非やってみたいね」

カエル「それこそ劇場版を制作してくれれば、絶対に観に行くこと間違いないし!」

主「意外とスチームバンクも最近珍しかったからなぁ……『甲鉄城のカバネリ』以来かな? あのSFともファンタジーとも違う独特な世界観がたまらないよね。

 かなりファンタジーな要素もあるけれど、そこも本作の魅力ということで……」

 

カエル「あと、最後になってしまうけれど梶浦由記の音楽も相変わらず最高でマッチしていました!」

主「この作品が硬派な雰囲気で統一されたのは梶浦由記のサウンドの力も大きいだろう。

 多分、ここまで人気や話題になれば2期もやるとは思うけれど……1ファンとして、楽しみにするのと、あとはちょっとずつ色々なグッズを買ってお布施していきたいな」

カエル「ちなみに、1番好きな話は何?」

主「やっぱり6話かなぁ。ドロシーの過去と向き合う話。その次が1話。ああいう硬派な話が大好きだから」

カエル「ギャグ回も良かったけれどね。伝説の相撲ダンスとか!」

主「いろいろな味のある作品だったのではないでしょうか?」

 

 

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TVアニメ『プリンセス・プリンシパル』OPテーマ「The Other Side of the Wall」

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