物語る亀

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物語愛好者の雑文

漫画『MAJOR 2nd』(既刊13巻)のあらすじと感想! 今作が描く前作との違いとは?

 

MAJOR 2nd(メジャーセカンド) 13 (少年サンデーコミックス)

 

 

アニメも好評放送中で注目度もうなぎ上り!

 

 

どうしても前作と比べてしまう人もいるだろうけれど、自分は好きだよ

 

 

カエルくん(以下カエル)

「メジャー2ndも小学生編も終わって、中学生編でもまた前作と違う魅力を発揮しているんじゃないかな?」

 

ブログ主(以下主)

「やっぱりサンデーといえばコナンや高橋留美子、今はゲッサンで連載中だけどあだち充とかの大御所組と共に、メジャーも欠かせない作品として記憶に残っているよ。どちらかというとジャンプやマガジンが好きだったけれど、単行本も買っていたなぁ」

 

 

カエル「長期連載だから思い入れが強い人も多いんだろうね」

主「多くの野球漫画が高校野球編だけとか、プロ野球編のみ連載という作品が多い中で幼稚園からリトルリーグ編や中学、高校野球編を経て、プロ野球引退、そして再起までと長いスパンを描いたからな。

 『巨人の星』とか単純に長期連載なら『ドカベン』や『あぶさん』と前例がないわけではないけれど、幼稚園、リトルから引退となると異例の作品といってもいいと思う

カエル「その続編にあたる2ndシーズンも中々面白いよ」

 

主「あの懐かしのキャラがもう一度、という楽しみもあるしな。看板作家が変わらないってのはサンデーとしてどうなんだって思いもあるけれど、やっぱり人気作の続編は強いのは当然の話か」

カエル「それじゃ、メジャーセカンドの感想とあらすじ紹介などをいってみよう!」

 

 

簡単なあらすじ

 

 前作の主人公、茂野吾郎の息子である茂野大吾もまた、父に憧れて野球を始めるものの、父と全く違い身体能力があまり高くない上に、周囲から父のようなスーパースターになって欲しいというプレッシャーに負けて一度野球をやめてしまう。(技術そのものは十分うまい)

 そのあとはサッカーや勉強もしてみるが長続きせず、結局ゲームばかりを繰り返すような日々。しかし、ある時インフルエンザの流行により代理で選手として出場した際に転校生の佐藤光と出会うことにより、再び野球を始めるのであった。

 しかし、そのポジションは父とは違い、捕手。

 弱肩の捕手ということで難色を示すものの、佐藤寿也のコーチもあり少しずつ成長していく……

 

 

 登場人物

 

茂野大吾

 

MAJOR 2nd(メジャーセカンド) 1 (少年サンデーコミックス)

 

 本作の主人公。前作の主人公、茂野吾郎の息子。

 吾郎は身体能力抜群の天才だったが、大吾はそこまで身体能力に優れているわけではない。

 メジャーリーグでタイトルを獲得するほどの父親を持ち、当然のように野球を始めるものの、父の影が偉大すぎて周囲に比較されることに絶望して一度野球をやめる。

 川にミットを投げ捨てるも遠くに投げることができず、帰ってきてしまうほどの弱肩。

 しかし前作の吾郎の相棒であり、ライバルでもある佐藤寿也の息子である佐藤光と出会い、再び野球を始める。

 ポジションは捕手。

 

佐藤光

 

MAJOR 2nd(メジャーセカンド) 8 (少年サンデーコミックス)

 

 大吾の相棒であり、前作の相棒でありライバルだった佐藤寿也の息子。

 アメリカで生まれて育っているため、考え方がアメリカ寄りであり、野球選手の息子だからといっても野球はしてこなかったため、ルールも知らない素人。

 しかし身体能力は非常に高く、初めて投球をした時も周囲が驚くような剛速球を投げた上に、コントロールなどの微調整もすぐにできる上に、バッティングもうまい天才肌。

 両親が離婚しており、父親とは別れているものの佐藤性を名乗り続けている。転校により群馬へと引っ越すことになるが、父親の助けもあり三船リトルに所属している。

 

 

佐倉睦子

 

MAJOR 2nd(メジャーセカンド) 13 (少年サンデーコミックス)

 

 本作のヒロイン

 一応大吾が初恋の相手だったようだが、プレッシャーに負けて腐っている姿を見て幻滅している様子。しかし再び野球を始めると見直し小中と大吾と仲が良さそうな描写が多い。

 野球には一切興味がなかったようであるが、大吾の後を追うように三船リトルに入団。野球の知識やルールはあまりわかっていないが、こちらも運動神経が良く、佐藤寿也の指導もすぐに吸収する柔軟性を持つ。

 割とサービスシーンが多め。

 

 

全体の感想

 

 

カエル「最近は以前に感想記事をあげた『群青にサイレン』などのように、野球漫画でもあまり目立たないポジションだった捕手が、主人公の作品が増えているように思うね」

 

群青にサイレン 1 (マーガレットコミックス)

 

主「一応名作としてはドカベンがあるけれど、基本的に野球漫画となると主人公は投手になるからな。

 実際、高校野球とかもスターと呼ばれるのは投手が多い。

 もちろん、清原とか松井、清宮みたいな野手のスーパースターもいるけれどさ」

カエル「逆に内野手や外野手の主人公はパッと浮かばないね」

主「野球の性質上、仕方ない。

 野手は守備の時は球が来ないと見せ場がないし、打撃も9人回らないと打席が来ない。

 しかもさ、よほどすごい打者なら最悪、敬遠してその主人公との勝負を避ければいいわけだし。

 投手ならライバルとの対決もあるわけだし、主体的に戦うことができる。

 どうしても野手は受け身になりがちなんだよね」

 

カエル「捕手は他の野手に比べれば物語として作りやすいのかな?」

主「作家で詩人の寺山修司が書いていたけれど、野球は投手と捕手のキャッチボールに野手という邪魔者が入ることで成立する競技という見方もできる。

 投手と捕手のコンビってのはセカンド、ショートよりも特別なモノを感じさせてくれるんだろうな。

 そう考えると、バディアクションとしてやりやすいし、面白くしやすいのかもね

 

キャラクターの性格付け

 

カエル「捕手が主人公ということで、大吾の性格付けとかいいよね。

 頭でっかちでリアリストで、少し捻くれた性格ってまさしく捕手向きで

主「やっぱりさ、捕手ってどことなく捻くれたやつってイメージがあるじゃん。野村克也とか、伊東勤とかさ。現役だと細川とか。守備にも定評がある捕手ほど、陰険で捻くれたイメージがある」

カエル「……いや、古田とか里崎とか、そんなイメージの少ない捕手もいるけれどね。漫画でもドカベンの山田太郎は純粋ないい人だし」

主「捕手は考えることも多いし、『グラウンドの司令官』なんて称されるポジションだから、一筋縄ではいかないわけよ。

 そこを大吾のデータ好きって設定も含めて、うまく捕手らしい性格にしているなと感じるよ」

 

MAJOR(78) MAJOR (少年サンデーコミックス)

どうしても印象が強すぎる吾郎から如何に脱却するのか?

 

前作との差別化するために

 

 

ただ、このキャラクター設定が一部では賛否もあるようだけれど……

 

 

前作の方がいいという人はどうしてもいるから、しょうがないけれどね

 

 

カエル「この設定変更についてはどう思う?」

主「前作の吾郎がズバズバと物事をはっきり言うし、わりと自分勝手なところも目立つ主人公でさ。

 見ている分には面白いけれど、はっきり言えば友達には絶対したくないタイプの主人公像なわけじゃない?」

カエル「……高校生編の転校騒ぎなどを見ても、人間として尊敬できない部分は多々ある人物だったね」

 

主「たださ、それが主人公としての魅力でもあって……それだけ破天荒なキャラクターだからこそ、78巻まで続く長期連載作品になったことも当然否定しない。

 よくも悪くも吾郎というのは典型的な投手タイプの性格であり、少年漫画の主人公として多くの魅力を兼ね備えたキャラクターだった

 

カエル「それでいうと、今作では光も投手らしいよね」

主「やっぱり投手はどこか自分勝手というか、唯我独尊なところがあったほうがうまく行くって言うからな。光も結構ズバズバという性格だし、マイペースなところも含めて投手向きだと思う

 大吾はそんな吾郎と対極な主人公像なんだけれど、それが賛否を生んでしまうのは当然といえば当然かもしれない。

 ただ、描きたいことが違うようにも思うんだよ」

 

 

 

 

2が描く野球の姿

 

カエル「今作の特徴というと、やはり女の子が多いこともあるのかな?

 リトルリーグ編では全く違和感がないし、前作も同じだったけれど、さすがに中学生にもなって女子ばかりというとね……」

主「最大のライバルも眉村の娘だし、これならお姉ちゃんの方を主人公にして女子野球のお話のほうがいいんじゃないの? という意見もよく納得できる。

 そして大吾もそこまで活躍していないしね。

 ただ、これもまた1つの野球の魅力への挑戦だと感じている

 

カエル「……というと?」

主「多くの野球漫画は投手が主人公だけれど、特にメジャーは吾郎が中心となって活躍する作品だった。圧倒的な主人公の力によって、弱小校などを勝たせていくタイプの漫画だ。

 もちろん、小森をはじめとした多くのチームメイトの活躍もあったが……基本的には個の野球だった。

 一方で、本作は捕手が主人公ということで頭脳的なプレーを見せながらも、圧倒的な力を持つ味方はいない」

 

カエル「特に女の子が多いと実力差はどうしてもあるよね」

主「今作では大吾がそこまで活躍していないけれど、描くのは『チームの野球』だろう。

 前作よりも脇役キャラクターの描写が増えて、誰もが長所と欠点を抱えている。それをうまくコントロールして、どのように勝ち上がっていくのかを見せることが、この作品の魅力になるのだろうな」

 

MAJOR 2nd(メジャーセカンド)(11) (少年サンデーコミックス)

女性キャラクターが非常に増えたことでも話題の2

 

2の欠点として

 

カエル「でもさ、それって漫画としてはどうなの?」

主「……まあ、欠点はあると思うよ。

 MAJORって公式の人気投票を行ったことが1度もないけれど、おそらく1位は吾郎になるでしょう。それだけのエネルギーがあって、お話をグイグイと強引に進めるだけの魅力があり、破天荒ながらも読んでいて面白かった。

 逆に今作は大吾が大人すぎて、それだけの力はない

 試合や物語をコントロールすることができても、エンジンにはならないんだよ」

 

カエル「吾郎はエンジンが強すぎてコントロールができる人がいなかったけれどね」

主「その意味でも対極な物語だと言える。

 そもそも大吾に課題があまりないから、葛藤がとても少ない。

 これは物語としても結構なハンデになってしまう。本来ならば……光か、少なくとも陸子がエンジン役になるべきだけれど、そうはなっていない。

 だから漫画としてのエネルギーは少々欠けてしまう印象は拭えない」

 

カエル「……それって作者が女の子を描きたい衝動を抑えて、男の子中心の野球を描けばいいんじゃないの?」

主「でもそれじゃ前作と同じになってしまうでしょ?

 キャラクターとしては絶対に吾郎を超えることができなくなってしまう……まあ、あだち充のようにスターシステムにして、ほとんど同じような主人公にするのも1つの手だけれどね。

 これからエンジン役や、さらに魅力のあるキャラクターをどこまで生み出すことができるのか……それが今作の課題になっていくんじゃないかな?

 

 

 

 

最後に

 

カエル「いやー、やっぱりなんだかんだ言ってもメジャーは名作だし、続編も楽しみな作品だよね。あとはどこまで描くんだろうね? こっちもメジャーリーグまで行くのかな」

主「そうなると相当長期連載になりそうだな……また10年単位の連載になるだろうけど、女子野球をどうするのかなど、面白そうな要素はあるな」

カエル「高校野球編は聖秀か海堂か……海堂が落ちぶれていてって展開も面白いし期待は募る一方だね」

主「次は誰の子供が出てくるのか? そして次のサービスカットは誰か!?」

カエル「楽しみはそこかい!! もういいわ」