物語る亀

ネタバレありの物語批評

灰と幻想のグリムガル 6話までの感想

 

 6話は大体1クールの半分だからここで一旦振り返る評論する企画第二弾。

 (ちなみに第一弾はアクティブレイド、第三弾は落語心中になる予定)

 4話でまとめたものがあるので貼っておく。ちなみに原作未読。

 

 

 

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 さて、6話まで見ての感想

 丁寧に作られているが、ちょっと心配になる……

 

 

 1 ここまで見てきて思う見どころなど

 この作品で描きたいのはファンタジー世界の日常的なお話である。我々が知るドラクエやラノベ作品に描かれるような勇者のお話ではなく、その中でモブとして扱われるような非常に弱い人間たちのお話だ。

 だから彼らはいつまでもゴブリンを狩って少しずつ強くなっていくが、それでもラスボスになるような強大な敵が現れることはない。では彼らには目的がないかというと、そんなはずはない。

 彼らの目的とは『その日その日を生きること』であり、これは現代社会を生きる我々とそう大きくは変わらない。だから非常にわかりやすいお話であり、大目標の不在という意味において、日常系と称されてもおかしくない作品だ。

 

 今作の見どころはキャラクター描写の丁寧さであり、特に仲間たちの描写というのは近年あまりないと思うほどに丁寧な作りをしている。普通ならばもっと色々なキャラクターを出して、それをライバルだったり友人、師匠として演出するのだが、本作にそれにあたる人物はいるものの、その描写がほとんどない。

 そのかわりにもっと厚く描写されているのは、敵でありザコであるはずのゴブリンだったりする。その死や生への執着は他の作品だったらあっさりと描かれるものにもかかわらず、今作はそれを許さない。

 ここにおいて今までにない独創性を確保することができていると思う。

 

 特に絵の作り方は圧巻で、前回も書いたので背景などは省略するが、見続けているうちにフェチズムの描き方が特にうまいなと感じた。例えば足の描き方であり、女の子たちの私服姿であり、そういったところに並々ならぬ拘りを感じる。

 さらに音楽もやはりよくて、雰囲気に合っていると思う。

   

 2 心配なこととは?

 では当初にあげた心配なこととは何かというと、『丁寧すぎること』だったりする。

 おそらく本作はここまで見るに、12話の物語を3つに分ける三幕構成をされているように思う。

 

 1話 世界観説明と主人公たちの戸惑いを描く

 2、3話 順調に成長していく仲間たちと彼らの普段生活を描く

 4話 大きな転換期(仲間の死)があり、彼らに絶望が訪れる

 

 ここまでで一つの流れになっているとみて間違いないだろう。そしてその後の流れも

 

 5話 新たな仲間の加入とすれ違い

 6話 仲間の過去とキャラクターの深掘り

 

 となっており、おそらくこの次の7話でその子のトラウマと向かい合ったり、少しずつ心を打ち解けていくということになり、8話にて本格的に仲間になるか、もしくはお別れという形になると思っている。

 

 この三幕構成は決して悪いことではないのだが、現代はアニメに限らず多くの作品がスピードアップを求められている。お笑いでも30秒に1回笑わせるという無茶振りに近いものを当たり前に要求されるし(だからわかりやすい1発ネタが流行る)、3話切りなどの言葉もアニメ好きなら一度や二度は聞いたことがあるだろう。

 映画でも昔の映画は今の映画に比べて、非常にゆったりとしたテンポで作られていた。ジェットコースターのように物語を作ることが、今は求められている。

 

 本作はそのスピード感が一切ない。丁寧といえば言葉はいいが、一歩間違えれば遅いということにもなりかねないのだ。私はこのゆっくりしたスピード感は好きではあるが、では現代に適しているかと問われると首をひねる。

 特に2話のPVのような歌の導入や、4話のラストの止め絵と音楽で魅せるシーンなどは演出としては優秀だと思うが、それがやりすぎという意見もわからなくない。

 

 ただ、このゆっくりとした作り方がこの先、大きな変換点になりうるポテンシャルも実は秘めているような気がしていて、そのアニメの構成(作り方)という点でも注目していきたい。

 

 

 

TVアニメ『灰と幻想のグリムガル』オープニング・テーマ 「Knew day」

TVアニメ『灰と幻想のグリムガル』オープニング・テーマ 「Knew day」

 

 

 

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