読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

物語る亀

ネタバレありの物語批評

真田丸 6話までの感想 毎回感心させられるわ……

ドラマ

 歴史物は好きではあるし、信長の野望などのゲームなどで戦国時代に関しては人並みには知っていると思うが、大河ドラマを歴史的にあっているか否かを判断できるレベルではないので、そこは考慮してほしい。

 

 さて、ただの戦国好きからしても今回の真田丸は非常に面白い!

 元々大河ドラマという毎回45分近い時間をかけ、(民放ならばCM込みで1時間枠だろう)それを一年間つなげるという形式において、真田信繁という人気はあれども活躍の場が少ない武将を扱うのは難しいと思う。では真田の見せ場はどこかといえば、大坂夏の陣は当然として、あとは関ヶ原の上田合戦くらいなもので、しかもそのあとは政治の中央から外れて蟄居しなければならないという、地味な生活を送る。

 

 これだけ盛り上がるポイントが少ない中、うまく脚色しながら、一年間面白く作ろうとなると非常に難しいはずだ。おそらく似たような現象が起こりやすいのが忠臣蔵で、こちらはもう松の廊下と討ち入りぐらいしか、誰もが知る見せ場はない。逆に三英雄、つまり信長、秀吉、家康になると今度は見せ場が多すぎて全てを丁寧にやると尺が足りない。そう考えると義経とか、龍馬、新撰組くらい(ある程度の活躍はするが、中央の権力争いからは微妙に外れている人たち)の方がドラマとしては作りやすいのかもしれない。

 

1 役者がいい

 今回は何と言っても草刈正雄演ずる真田昌幸の魅力があまりにも大きい。主人公である信繁はまだ子供で実権はなく、特に見せ場もないため、お話を引っ張っていくには弱い。

 かといって兄の信之も活躍させすぎると信繁を食ってしまいかねないし、また、後々の離れてしまうことを考えれば、あまり強く描写することは難しい。(余談だが、個人的には池波正太郎の真田太平記が大好きなため、今回の信之は少しコミカルすぎるきらいがあるように思う)

 そこで登場するのが、父である昌幸である。史実でも食えない男として有名だが、草刈正雄が演じることでその策士ぶりが非常に強調されている。(特に4話の家康に策を弄したことを疑われるシーンや6話の滝川一益に疑われると、笑って返すシーンなどは非常に魅力的に映る)

 

 しかし1話から3話、それから4話のなかばほどにかけて、その有能さと狡猾さをアピールしておきながら、武田勝頼の死後はどのように振る舞えばいいのかわからないと嘆くなど、いかにこの乱世で生き残るのが難しいかわかる。その意味においても、今作は昌幸を通して戦国時代の生き残りをかけた難しさが非常によく出ている。

 

 また、これは現代の歴史作品に多いのだが、顔や服があまりにも綺麗すぎる作品が多い中、今作は泥にまみれることに強い抵抗がない。これは昔の白黒映画を見て貰えばわかるが、そこに映る百姓や落ち武者というのは、見るからに臭ってきそうなボロをまとい、泥だらけの姿が多い。当時の状況を考えればそれが当然なわけだが、現代の役者が嫌がるのか、絵面が汚くなるのが嫌なのか、そのような場面はあまり見かけなくなっていた。

 そこから作り物感が出てきてしまい、立場の違いやらが感じられなくなって薄い作品になりがちではあるのだが、本作はそんなことはない。

 

 特に3話だったと思うが、真田信幸率いる真田一族が移動するシーンで泥を塗る場面であり、また高木渉演じる小山田が落ち武者として泥まみれで出てきたシーンなどは、私などは役者魂が感じられて非常に好感がもてるものだ。役者であるというならば、ここまでやって欲しいと思うのは、現代においては無茶ぶりなのだろうか?

 

 

   

 

 

 2 さすがの三谷幸喜脚本

 やっぱり三谷幸喜はうまいと思わされた。作品は見れていないのだが、最近公開した映画があまりのひどさに酷評が立ち並び、限界説や離婚がなんだと色々と言われていたが、今回でそのデマを一蹴した結果になった。

 

 まずコメディとして面白い

 真面目一徹な信之と、策士で義など屁とも思わぬ父昌幸のやりとりが話題だが、ここがコントとしても秀逸。それでいながら戦国を生き残るのは昌幸のしたたかさが大事だが、徳川時代を生き残るのは信之の実直さであるという見事な伏線ができていると思う。

 また本来は日本史上屈指の歴史的大事件である本能寺の変をあっさりと終えるなどのバランス感覚もまた素晴らしい。確かに真田には直接関係ない事件ではあるが、どうしてもここは強く描きたくなるとこをを堪えている。

 

 また5話の徳川伊賀越えなどまさしく白眉の出来であり、

 

 半蔵「準備は整ってあります」

 非常に急な崖がある。

 家康「どうすんの?」

 半蔵「まかりとおります」

 家康「……」

 

 目の前に明智の軍勢

 家康「どうすんの?」

 半蔵「まかりとおります」

 家康「……ぁああああ!!!(ヤケクソ)」

 

 などというのはコントしても秀逸で、私も大笑いさせてもらった。本来ならば三方ヶ原、一向一揆などと並ぶ大きな危機であるにもかかわらず、しかも信繁の最後のラスボスになる家康のことだからもっと丁寧にシリアスに演出することが王道なのに、ここでコミカルな描写を入れてくるからこちらも肩の力を抜いてみていられる。子供は「これ、大した危機じゃないよね」なんて言いそうなほどである。

 また、途中休憩を挟みながら家臣たちと飯を食べている時の、むさい男たちの笑顔だったり、頬についたご飯粒を食べてあげるシーン はこちらもホコッリトしたものだ。

   

 3 ここまでは序章

 真田丸の脚本構成を6話まで見ると、以下のようになると思う。

 

 1、2話 武田没落

 3話 主君をどうするか

 4話 織田家に入る

 5、6話 本能寺の変後のゴタゴタ

 

 これをまとめると1、2、3話が武田編であり、4、5、6が織田編と言える。見事な三幕構成でうまく作られている。

 そしてここまでの6話をまとめると『家臣編』となるのだろう。6話ラストにおいて独立を示唆する部分があったため、ここで『家臣編』は終わりとなり、7話からは新しい章に入るとみていいだろう。そのためにここまでは小競り合いしかしておらず、合戦という合戦はしていなかったが、7話にて派手な合戦を持ってきたのだろう。

 こういった脚本構成は終わってみないとわからない部分も多いが、ここまで見るには非常にうまくいっているように思える。

 

 来週以降も面白そうな真田丸。

 これは全話見てしまうだろうなぁ……

 

(ちなみに私は普段ドラマを見ないため、多分ドラマカテゴリーは大河ぐらいしか使わないかも……理由はいつか書こうかな……)

 

monogatarukame.hatenablog.com

 

 

真田丸 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)

真田丸 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)

 

 

短編小説やってます

 

monogatarukame.hatenablog.com