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物語る亀

ネタバレありの物語批評

ハクメイとミコチ 四巻感想 小さきものは、皆うつくし

漫画

 ハクメイとミコチの四巻が出たのでその感想を。

 結構この漫画も新刊発売を心待ちにしていて、漫画大賞にノミネートすらされないのが不思議なくらい、いい作品だと思う。

 

 タイトルは枕草子の有名な146段からとらせてもらったが、おそらく春はあけぼのから始まる一段の次に有名な段と言ってもいいのかもしれない。現代で言うところのバリバリ働く女の愚痴日記みたいなもので、今ならばコミックエッセイとして書かれていそうな枕草子の中にも、やはり『小さいものはみなうつくし(現代語では小さいものは皆可愛らしい)』とある通り、日本人のDNAの中には小さいもの=可愛いものという認識がどこかしらにある。

 

 ハクメイとミコチは小人で、身長は普通の人間の手のひらよりも小さく、おそらく親指ほどしかないのではないだろうか。そんな小人が自然の中で時には危険な目にも遭いながらも、楽しく暮らしている様を描いている。

 この作品のうまいところは何と言っても細かい絵の書き込みだろう。掲載されているハルタは今話題のダンジョン飯だったり、個人的に好きなジゼルアランであったりと、意欲作も多く注目を集める雑誌だが、乙嫁語りのヒット以降は書き込み重視の作品も多く発表していて、他の雑誌との差別化を図っているが本作もその例外ではない(もちろん全ての作品が書き込みが多いわけでもないが)

 街の描写であったり、自然の木々や草花の描写は見事の一言で、非常に丁寧な作りを感じさせてくれる。

 

 街の動物たちもいい味を出していて、身長の違いや種族の違いによって得意とする仕事が違ったり、トカゲなどは少し小狡い悪役として描かれている。虫などはデフォルメ化することもなく、比較的リアルに描かれているが気色悪さがなくて個性的。

 それでいて起こる事件はほのぼのとしているものの、どこか冒険心をくすぐったり、大した物を作ったりと見ていて面白い生活が送られている。

 特に四巻にもなるとキャラクターの掘り下げも出来ているので、あのキャラクターとこのキャラクターが絡んでまた新しい物語が生まれたりと、新しい相乗効果が生まれている。その雰囲気に浸かっていたい、この先も長く読んでいたい作品だ。

 これだけの書き込み量だとそこまでの量産はできないかもしれないが、一巻でも多く書いてもらえることを作者にお願いしたい。