物語る亀

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物語愛好者の雑文

映画『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間』感想 監督の熱意が伝わって来る!

亀爺(以下亀)

「少し公開からは時間が経ったが、今週はジャズミュージシャンでも伝説的な人物、マイルス・ディビスを扱った映画を取り上げるとするかの」

 

ブログ主(以下主)

「……また少しだけ失敗した」

 

亀「失敗? 公開時期でも間違えたかの?」

主「いや、公開時期はしょうがないんだよ。この映画って12月はシャンテぐらいでしか公開していなくて、1週間くらいしてから公開劇場が増えた……はず。まあ、それは今更どうでもよくて……

 今年は折角だから宇多丸が批評する映画と同じ作品も全作やろうかな? って考えていたのね。まあ、続き物も多いし、前作や関連作品を見ていないとわからない作品も多いけれど……単独で成立している映画はなるべく見に行こうかなって」

 

亀「そして新年1発目がこの作品だったの」

主「だけどさ……年末だから1週映画批評が空いたのよ。それで、何を勘違いしたのか、今週末に映画批評をやると思い込んでいて……確認したら、もうマイルズアヘッドはやっていたのね……

亀「まあいいではないか、それくらい」

主「……まあ、どうでもいいといえばいいけれど、なるべく人の感想とか批評を聞かない状態で書いた方がいいからさ、そこは少し考えてしまう結果になったかな」

亀「それでは記事を始めるぞ」

 

  • 1 ネタバレなしの感想
    • 音楽を語るということ
  • 2 映画としての完成度
    • 伝記映画なの? 
  • 以下ネタバレあり
  • 3 詰め込まれた要素
    • この映画を支えたもの
    • 最後に

 

 

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江川、石田、井筒の君の名は。と新海誠に対する悪評に関して思うこと

カエルくん(以下カエル)

「2016年の映画界の話題の中心は、よくも悪くも新海誠だったような気がするね」

 

ブログ主(以下主)

「明らかに邦画、洋画を問わず、実写の映画よりも存在感を示したのがアニメ映画だったしな。シンゴジラもアニメ界に縁の深いスタッフが集結しているし、アニメを実写でやっているという意見もある」

 

カエル「もちろん主がアニメ好きっていうのも大きいかもしれないけれど、毎日のようにアニメの話を聞いていた気がする。

 それこそキネ旬も『この世界の片隅に 』を1位に選んだし。トトロ以来の快挙なんでしょ?」

主「ジブリが実質解体した後のアニメ映画界を象徴する出来事になったんじゃないかな? 色々な問題もあるし、中には『10年後には衰退している。なぜならば一流アニメーターが高齢化していて、新陳代謝がないからだ』と語る人もいるような状況ではあるけれど、それも含めて色々と考えていかなければいけないよね」

 

カエル「で、今回はまた新海誠について語るのね」

主「宮崎駿でも売れすぎだよなぁ、って思ったけれど、新海誠は特にそう思うんだよ。いや『君の名は。』は200億の価値がない! とは言わないよ? 作品クオリティが高くても全く流行らなかった作品なんていくらでもあるし、売れた作品が名作なわけでもない。

 だけど、売れるということは色々と注目を集めることでもあって……あまりにも罵倒が多すぎると思うのね

 

カエル「宮崎駿にはそんなこと言わない人も、新海誠だと言いやすいっていうのもあるのかもしれないけれど」

主「今回はそんな意見に対して色々と思うところを書いていこうかな、と思っている」

カエル「了解、じゃあ記事を始めるよ」

 

  •  1 江川達也、石田衣良、井筒和幸の発言
    • 語り口と芸風
  • 2 批判意見は正しいの?
  • 3 過去の名作と現代の名作
    • 作品の品格
    • ヒット作品の意義
    • 最後に

 

 

 

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ブログ開設1周年! 皆様への御礼と、これからの目標を語ります。

 本日、1月10日をもちまして、当ブログはめでたく開設1周年を迎えました。

 ここに、日頃の皆様のご愛顧に感謝いたしまして、深く御礼申し上げます。

 

 この記事に検索流入などでたどり着き、初めて当ブログ『物語る亀』を読むという方は中々いないと思いますが、初見さん、常連さんのご尽力があればこそ、この1周年を迎えることができたと思います。

 

 1年目ということを考えても、非常に多くの方に閲覧していただくことになりました。

 今回はこの1年書き続けて思ったこと、今後の目標なども書いていきたいと思います。

 

 では、いつものスタイルで始めさせていただきます。

 

  • 1 一年間の感想 
    • このブログを立ち上げた目的
    • 方向性の転換
  • 2 人気だった記事
    • 特にお気に入りの記事
  • 3 今年の目標

 

 

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映画『アイヒマンを追え!  ナチスがもっとも畏れた男』感想 似たようなテーマの映画とも比較したよ

亀爺(以下亀)

「ナチスドイツものがまた公開されたの」

 

ブログ主(以下主)

「ヒトラーの『わが闘争』がドイツで解禁になったこともあることも大きく関係していて、注目を集めているのもあるらしいね」

 

亀「やはり、ドイツ国内ではそれだけ重く、大切なことなのじゃな」

主「日本もそうだけど、国の根幹に関わることだからね。なぜ今のようなシステムになったのか、などの色々な思いがある。結局、あれだけ移民を受け入れるのも、ナチスドイツ時代に単一民族主義に染まって歴史に残る汚点を残したから、その過去の反省だったり、他の国へのアピールも兼ねているわけで……」

亀「戦後70年を過ぎて、多くの国民が戦争というものを知らないというにも関わらず、いまだにそのことに捉われている……というのは、敗戦国の国民に都合の良い物言いかの?」

主「う〜ん……そこいら辺は政治的信条も絡むだろうから、言及を避けたいところだけど……

 でも、最初に言っちゃうのもなんだけど、その歪みって戦争映画を撮る、語る上ではむしろ武器になると思うんだよね

 

亀「おっと……ではその話はまた後ほどにするかの。

 ちなみに本作は同じ人物と出来事をテーマにして、同時期に制作、公開された映画検事フリッツ・バウアー ナチスを追い詰めた男と比較して語る部分も多いので、そのことは最初に了承してほしいの」

主「歴史的な事件だからあらすじは同じようなものだけど、フリッツ・バウアーに関してはなるべくネタバレしない方向で書いていくので、未見の方でも大丈夫……なはず」

亀「それでは感想記事スタートじゃ」

 

  • 1 ナチス映画の歪み
    • 切り口をどうするか?
  • 以下ネタバレあり
  • 2 本作と同じテーマの映画を比べて
    • アイヒマンの描き方
  • 3 バウアーの抱えた『思い』
    • 最後に

 

 

映画チラシ アイヒマンを追え! ブルクハルト・クラウスナー

 

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映画『甲鉄城のカバネリ 総集編後編 燃える命』感想 荒木監督がカバネリでやりたかったことって?

カエルくん(以下カエル)

「カバネリの総集編も後編を迎えたね」

 

ブログ主(以下主)

「2週間限定公開だから、早く見に行かないとすぐに終わっちゃうな」

 

カエル「総集編だからねぇ……新規カットもあるにはあるけれど、メインはすでに放送された分だし」

主「初見でもとっつきやすいけれど、だいたいこういう映画を見にいくのはテレビシリーズからのファンって形になっちゃうのが勿体無いよなぁ。

 カバネリに関しては作画がテレビアニメとは思えないクオリティだったから、余計にそう思うよ

カエル「前編の時も語ったけれど、他の劇場作品に負けていないもんね」

 

主「もちろん、止め絵があったり、箇所によってはやっぱりテレビアニメだな、という思いもあるけれど……それでもアクションシーンを始めとして、動くときはグリグリと動くしな」

カエル「すごいよね。監督が『特定のカットに関してはやりきったと思っている』って語っているけれど、本当にその通りだと思う。テレビアニメだと考えたら、素晴らしいクオリティだよね」

主「それじゃ、感想記事に入ります。

 ちなみに今回も1度テレビシリーズで放映されていることもあって、ガンガンとネタバレをしていこうと思っているので悪しからず

 

  • 1 前編と比べると?
  • 2 物語の目的
    • 美馬の目的
    • 主人公サイドについて
  • 3 荒木監督がこの作品で表現したかったこと
    • ゾンビものの難しさ
    • 最後に

 

 

前編の記事はこちら

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映画『傷物語〈Ⅲ冷血篇〉』感想 いよいよラストを迎える物語! あの結論の意味とは? 後半ネタバレあり

カエルくん(以下カエル)

「ちょうど1年かけて、傷物語の3部作も終わったねぇ」

 

ブログ主(以下主)

「このブログとしても感慨深いものがあるな」

 

カエル「当時はこの形式でこそなかったけれど、このブログを開設して1番始めの映画感想記事が傷物語だったからね

主「それがこうして終わるというのは、少し寂しいものがあるな。まあ、公開するかどうか何年も待ったから、という特別な感情もあるのかもしれないけれど。

 傷物語でこれだから、新エヴァが終わったとしたら、もっと色々な感情が巻き起こるかも。エヴァは終わらないからこそのコンテンツでもあるけれど」

 

カエル「エヴァの話はここまでとして、シャフトらしさに溢れた意欲的な作品だったしね。その意味では……最終章の公開は年明けだけど、まさしく2016年のアニメ映画大豊作の1年に名を連ねるにふさわしい作品だったよね

主「京アニやシャフト、東映、ジブリ、ディズニー、ピクサー、ユニバーサルなどの色々な売りを持つ力のあるアニメ制作スタジオがアニメ映画をたくさん発表した1年でもあったんだな。

 それぞれの個性だったり、強み、あとは変化なども楽しめていい1年だったと断言できるよ」

カエル「それじゃあ、感想にはいろうか」

 

  • ここまでのあらすじ
  • 1 ネタバレなしの感想
    • 結局、面白いの?
    • 色々なハードルが高い作品
  • 以下ネタバレあり
  • 2 生きること
    • 物語のロジック
  • 3 物語としての傷物語の凄さ
    • ハッピーエンド? バットエンド?
    • 最後に

 

 

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映画『検事 フリッツ・バウアー ナチスを追い詰めた男』感想 誰もが抱える『罪』

カエルくん(以下カエル)

「今回はナチスドイツの重要人物である、アドルフ・アイヒマンを追い詰めた検事のフリッツ・バウアーに迫った映画の感想だね」

 

亀爺(以下亀)

「今週も『アイヒマンを追え!』なども公開されるように、ナチスドイツを扱った映画がにわかに注目を集めているの」

 

カエル「まあ、いつの時代も無くならない問題だからね」

亀「日本はこの手の戦争の責任者に対する処罰は外国が裁くという形で決着をつけたが、ドイツは『ナチスの過ち』ということにして、ドイツ内で決着をつけるようにした、ということもあるかもしれん。

 まあ、日本の場合は『天皇の戦争責任』などの非常にセンシティブな部分も絡むから、一概にどちらがどうともいえる問題ではないないが……」

 

カエル「第二次大戦の結果が今にも影響を与えていて、それが国連とか色々な世界の構造の基になっているしねぇ」

亀「戦争に向き合うということは難しいことじゃな、特に敗戦国は。

 ドイツは定期的にそこに向き合う映画が撮られるが、やはりどの作品を見ても……ある意味屈折した思いというものが感じられるの」

カエル「日本の場合は『現場の軍人がこんなに頑張った!』『戦争に巻き込まれる悲劇!』に注目が集まるけれど、戦後に注目した戦争映画ってそんなに多くないのかな?」

亀「作るのが難しい、というのもあるかもしれんがの。

 では、感想記事を始めるかの」

 

  • あらすじ
  • 1 映画としての感想
    • この映画が描きたかったもの
  • 以下ネタバレあり
  • 2 バウアーの描き方
    • バウアーの弱み
  • 3 アイヒマンの描き方
    • 最後に

 

 

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